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「お前の加護は相当なものだ、勇者は力は持っているがただの人間、しかしお前は半分神だ。」
「タケルさん、半分神様だったんですか!?」
「まず不老不死なんてものを持っている時点で生物の枠組みから外れてしまう、しかし、一定の条件下でなら死ぬことが可能という点でアンデットでもない。」
キルビアはさらに続けて口を開く。
「この世界のどんな物質より頑強でありながら、人間の皮膚と同じ柔軟性を持つ、魔力による干渉も不可能、そんな物は聖素しか私は知らない。」
「聖素とは?」
「天界、神界の者たちの体を構成する物質だ、我々神や天使などはそれでできている。」
「なるほど、それでは私はその聖素で構成されているという事ですか?」
「それもまた違うんだ、聖素は物質に触る事が出来ない、聖素と言う物は魔力の上位相互的な存在だからな、気体に等しい。」
つまり良く解らない存在だという事だ。
「今度タクマに聞いておいてやる。それよりそろそろ次の授業の時間のようだぞ?」
キルビアの指差した先では最後の生徒が召喚を行っていた。
「次の時間は武具を作るのだろう?私が元居た世界では使い魔の一部を魔石と融合させて武具を作るのだが、この世界ではどうなんだ?」
「こちらの世界では普通に魔力を込めるだけで大丈夫な様でございます。」
「なるほど、もしかしたらと思って残ってはいたが、それなら帰ってしまっても問題はないようだ。」
「帰っちゃうんですか?」
「ああ、子供の世話もあるし、これ以上この世界に留まっていたら夫が迎えに来てしまう。」
キルビアはフッと笑って立ち上がった。
「ご馳走様、中々に美味い紅茶だった。」
「お気に召したようで何よりでございます。」
キルビアがすっと消えて、教師の声が校庭に響いた。
「10分間休憩した後、武具の精製に入るぞ!」
周りからははーいと元気な返事が返ってきた。
ミリィは複雑な顔で俺の事を見つめていた。
10分後、俺は魔石に魔力を流していた。
魔石が徐々に光を放ち、形を変え始め、5角形の盾の形で落ち着いた。
「盾か・・・。」
「タケルさん、どうでしたか?」
盾に魔力を流し、能力の説明を診ていると金色の杖を持ったミリィが駆け寄ってきた。
「盾でございますね、能力は反射と日に一度限りの絶対防御だそうです。」
「タケルさんに盾ですか・・・。」
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