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その代わりに俺は自分の鞄からテーブルクロスと水筒を取り出してカップに紅茶を注いで4人の前に置いた。
「いちいち買いに走るなど優雅ではございませんし。」
どういう仕組みなのか、紅茶は朝入れてもらったままの温度と質を保っていた。
「よろしければお茶菓子もどうぞ。」
執事長にもらったクッキーを皿に盛り付けて机の真ん中に置いた。
「やればできるじゃないですか!」
「何もわからない自分に対し、ニヤニヤしながらジュースを買って来い等と申す彼の態度が気に食わなかっただけでございます。」
ミリィの後ろに立って待機していると、いきなり後ろから棒状の何かで殴られた。
「きゃぁああああ!!!!」
「ふむ、どうやらあれは本当のようですね。」
「そんな悠長な事を言っている場合じゃないです!すぐに医務室へ!」
「問題ありません、多少の衝撃はあったものの、どうやら私は鉄パイプ程度では傷つく事も出来ないみたいですので。」
すっと後ろを振り返れば先ほどのホモ男君が曲がった鉄パイプを手に立っていた。
「お気が済みましたらどうぞご自分の席にお戻りください。」
「この程度で気が済むわけないだろう!死んで詫びろ!!」
「ただいま死ぬ為に世界樹を探している処でございますので、もうしばらくご辛抱ください。」
ぺこりと頭を下げてミリィの方を向き直る。
「お騒がせ致しました、どうぞお茶会を続けて下さい。」
軽くお辞儀をしてスッと何事も無かったかのように元の位置にたつ。
その後もホモ男に背中をバシバシ叩かれたが意に介さず、教師が教室に入ってくるまでミリィの世話を焼いた。
「背中、大丈夫ですか?」
「問題ありません。」
授業中は椅子に座って待機するのが決まりらしい。
おかげでミリィが話しかけてくる。
「痛くなったらいつでも言ってくださいね、医務室に連れて行きますから。」
「私の心配よりご自分の心配をした方が宜しいのでは?教師に目を付けられていますよ。」
1時限目は国語だった。
ミリィは得意科目らしく、スラスラと危なげなく教科書を読む。
見た事もない文字だが、何故か俺でも読む事ができた。
休み時間になる度、ホモ男は俺の事を殴りに来るようだ。
「そう言えば申し遅れましたが、あの森でイノシシを退治した際にミリィ様の剣をお借りしました。」
「あ、あの剣?あれで倒したの?」
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