サルでも解るチートの倒し方

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勇者が教室に帰って来たのは昼休みだった。 そして帰ってくるなり俺に左手を差し出してこう言った。 「僕と決闘しろ!!僕が勝ったら君には土下座して謝ってもらう!」 「土下座程度でよろしいのでしたらすぐにでも致しますが?」 「え?お、お前にはプライドがないのか!?」 プライドじゃあ食って行けないんだよ。 「タケルさん・・・。」 「はい?」 「私はタケルさんが土下座している姿なんか、見たくありませんよ・・・。」 「はぁ、仕方がないですね。」 俺は右手の手袋を脱いで勇者に投げつけた。 「左手の握手が決闘を申し込む事になるというのは、嘘でございます。」 「な!?どこまで僕を馬鹿にすれば気が済むんだ!!」 「失礼、こんな事になるとは思わなかったので、握手を拒む言い訳に使わせてもらったのです。」 「ごめんなさい、タケルさんってこういう人なんです、あはは・・・。」 人を性格破綻者みたいに言うのは止めて頂きたい。 「もう怒った!絶対に許さないからな!!僕が勝ったら国外に追放してやる!!」 「では、私が勝ったら貴方には出身国を攻め落としてもらいましょう、私の手駒として。」 「な、何を言ってるんだ!?」 「あなたは貴方の国をその手で滅ぼすのです。私の手下として。」 「タケルさんが凄く悪どく見えます・・・。」 まぁ、俺が負けても勇者が来た国を乗っ取るつもりだし、勝っても負けても勇者の出身国はなくなるわけだが。 「そんな事出来る訳がないだろう!!」 「でしたら決闘は無しでございますね、私は国外に追放される事無く、あなたは自国を滅ぼさずに済む、良い事だらけではありませんか?」 「・・・、どうせ僕が負ける訳がないし、今のうちに荷物をまとめておけよ!!」 それはこちらのセリフだ。 「かしこまりました、では明日の放課後に場所は第一訓練室で。」 放課後、馬車の中でミリィは心配そうに俺を見ていた。 「心配はございません、隣の大陸の国が一つ滅びるだけでございますよ。」 「でも、相手は一応勇者ですし、もう少し緊張感を・・・。」 「あれは強い力に振り回されている弱者でございます。」 女神の力を持っているからという理由で傲り、気に入らない者に力を振るう。 「調子に乗らない内に敗北を知っていれば、立派な勇者になれたかもしれないですね、誠に残念です。」
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