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他国の勇者と決闘するという話が城の内部に蔓延したせいで、俺は国王に呼び出された。
「タケル君!勇者と決闘するというのはどういう事だい!?」
「私はただミリィ様の友人を守っただけ。その結果、あの方が恥をかいてしまったのでございます。」
「一体どれだけの恥をかかせれば決闘何て事になるんだか、私には解らないよ・・・。」
「ただ、ヘタレが玩具のナイフで刺されて失禁した、それだけでございますよ。」
俺は玩具のナイフを取り出して刃を出し入れして見せる。
「最初は土下座をして謝れと言う物ですから、その様にするつもりでしたが、ミリィ様が私の土下座は見たくないと、そう仰られたので仕方なく決闘を受ける事になったのでございます。」
「ここで君が勝ってしまったら、国際問題になりかねないんだよ?」
「ああ、その事はきちんと手を打ってありますので、ご安心ください。」
「何をしたんだい?」
「私が勝った場合、私の手駒として勇者は自分の国を潰すように言ってあります。」
「」
絶句してしまった国王が立ち直るのを待つ。
「はっ、あまりの事に気が遠くなってしまったよ・・・。それで?君が負けた場合はどうなるんだい?」
「まず私が国外追放になります。そして勇者の国が滅びます。」
「」
また固まってしまった。
「い、いやいや、勇者が負けたら勇者の国が亡びるんだよね?」
「そうでございますね、私の命令はそのようなものでございます。」
「じゃあどうして勇者が勝ったら勇者の国が亡びるんだい?」
「私が滅ぼすからに決まっているじゃありませんか?」
俺が受ける命令は国外追放だけだ、その後俺がどうしようが俺の勝手だ。
「勝負と言うのは始まる前から勝者と敗者が決まって居るのでございます。」
命令するのならこの国の外には出ず、大人しくしていろが正解だった。
「それでもし勇者君が勝ってしまって君が国外追放になったら、この国はどうしたら良いんだい?」
「まず私が勇者の出身国を潰して乗っ取り、この国に降伏勧告をだし、それを了承すれば、陛下が引退し、私がミリィ様と結婚し、場所こそ違えど元通りでございましょう?」
「君は本当に色々考えて行動しているんだね、娘にも見習って欲しいものだよ・・・。」
「ミリィ様はあれで結構聡明なお方でございますよ。」
だって俺が悪事を仕込んでるから。
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