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翌日、ミリィをおこしに部屋に行くと、ミリィはすでに着替えを済ませて待っていた。
「おはようございます、ご入浴はいかがいたしますか?」
「先ほど済ませました、後は朝食を食べて学校に行くだけです。」
「左様でございますか、毎日こうだと私も少しは楽なのですがね。」
「今日でお別れになるかもしれないのに、何でそんなに落ち着いていられるんですか!?」
「はい?」
「タケルさんが負けたら国外に追放されちゃうんですよ!?」
「はぁ、つまりミリィ様は私が負けると思っていると?」
「だって相手は勇者何ですよ?しかもキルビアさんが言うには女神さまの力を持っているとか。」
「しかしこうも言っておりましたね、全知全能の神の加護を破れるほど強いものではないと。」
俺を倒せる奴がいたらそいつに世界を明け渡すのも吝かではないとまで言っていた。
つまり、属性神から見ても、俺が負ける事はないという事だ。
「それより、その大荷物は何なんですか?」
「ああ、どちらが負けてもすぐに出立できるように旅支度でございます。」
「や、やっぱり少しは不安が・・・?」
「負けるとしたらワザとでございます。国外追放になるついでに、世界征服と言う娯楽を楽しんでくるのも、また一興かと思いまして。」
「負けちゃったら、会えなくなっちゃうじゃないですか・・・。」
「いえ、私が国外に追放されるだけであって、ミリィ様の出国に制限はかけられておりませんよ?」
「え?」
「私が負けた場合、私は勇者が居た国の王になっておきますので、会いたくなったら会いに来ていただければよろしいかと思われます。」
ミリィは口をあんぐりと開けて固まってしまった。
「さて、そろそろ朝食のお時間でございますので食堂に参りましょう。」
食堂に着くと国王とアリサが変な顔で俺たちを見た。
「今朝は悲鳴が聞こえなかったね。」
「どうにも私がここから出ていくと勘違いして早起きしてしまったらしく。」
「はっはっは、ミリィもやればできるじゃないか。」
国王とアリサはくすくすと笑った。
「お二人はタケルさんが負けるとは考えていないんですか!?」
「ないね、有るとしたらどうしても世界を手に入れたくなったか、手に入れる必要ができた場合だよ。」
俺はいつも通りミリィを座らせて、その横の席に着席して朝食を食べ始めた。
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