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(今船に乗って海を渡ってるところっす、明日の昼ぐらいまでこのままらしいわ、マジで退屈で死にそうなんすけど・・・。)
くそ虫からの定時連絡が入った。
現状は船の上で退屈と言う強敵と格闘中だそうだ。
(そうか、では勇者と手合わせでもして暇つぶしをしていろ、俺はこれからミリィ様と学校だ。)
(そうですか、ご苦労様ですね!はぁ・・・、あのガキずっと部屋から出てこないで落ち込んでんすよねぇ・・・、陰気臭いのは嫌いっすわ。)
(最悪国さえ潰せれば殺してしまっても構わん、うまく使え。)
それだけを念話で伝えて馬車に乗り込む。
「今日から平和な学校生活ですよ、休み時間に席を追いやられる事も有りません!!」
「そうでございますね、今日は気分が良かったので朝から新作のお菓子等を作って参りました。」
「新作のお菓子!?楽しみです。」
ゆったりと馬車に揺られながら街の風景を眺める。
嫌な事が待ち受けていない学校がこんなにも晴れ晴れしいとは・・・。
「ところでタケルさん、新作のお菓子と言うのはどんなものを?」
「昨晩メイド長から教わりました、スコーンでございます。」
「スコーン!食べた事あります!ギルドの近くの喫茶店に有りました!!確か、一般の奥様方がお茶会をするときのお茶菓子だって聞いてます。」
「さすがはミリィ様、おやつの事となると情報が早い、その通りでございます。しかし、一般の奥様方が食べているスコーンとは違い、ドライフルーツやチョコレート等が盛り込まれております。」
「そ、それは美味しそうですね・・・、学校はまだですか?」
「あと5分ほどで到着の予定でございます。」
スコーンに夢を馳せて居るミリィを見て微笑み、手元の本に視線を戻した。
「今日は何の本ですか?」
「はい、最近は料理の本を読んでおります。」
「タケルさんは一体何を目指してるんです?」
「一人前の執事であれば、料理位できなければなりませんので。」
俺が読んでいる本は超実践型サバイバル料理と言う本だ。
近々サバイバル実習が有るので、一応念の為に読んでいる。
「流石は私の執事ですよ!お料理ができる様になったら私にも作って下さいね?」
「はい、近いうちに必ずご馳走させていただきます。」
授業も終わり、帰りのホームルームでの担任の第一声で、ミリィの顔色が変わった。
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