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「世の中には大人の玩具と言う物もございますが、それはまだミリィ様にはお早いかと。」
「な、ななな、何を言ってるんですか!!!」
「ふふ、冗談でございます、つい気を引きたい相手には意地悪をしてしまうのですよ。」
「はい?それってどう言う?」
「では私はこれで。モモ、後は頼みましたよ。」
「ちょっとタケルさん?」
ミリィの呼び掛けには答えず、俺は飛翔魔法で城の塀の外に出た。
「さて、テントとナイフか、その辺の人にでも聞いてみるしかなさそうだな。」
俺はそうつぶやいて井戸端会議をしているマダムに話しかけた。
「失礼、私はミリィ様の専属執事のタケル・シノブチと申すものでございますが、少々お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんわよ?」
「今度学校でテントとナイフを使用する授業が有るのですが、私は城の中に勤めている者で、どこに売って居るのかが解らないのです、よろしければご教授願えませんか?」
「それでしたら、そこの雑貨屋に置いてあるザマス。」
「そうで御座いましたか、教えていただき誠に感謝いたします。」
ぺこりとお辞儀をして、教えて貰った雑貨屋に入ると、マキがそこに居た。
「あ?くそ執事がこんな所に何の用事だ?」
「テントとサバイバルナイフの購入に参りました。」
「ミリィの使いッパシリか?相変わらず甲斐性のねぇこったな。」
「マキ様こそ、ご子息を甘やかし過ぎではございませんか?この程度の買い物、男なら一人でできて当然でございましょう?」
マキにぎろりと睨まれるが、その程度で動じるほど俺の肝は小さくない。
「余計なお世話だ、くそ執事が・・・。」
「お互いさまでございましょう?」
マキはケッと唾を吐いてナイフとテントをレジに持って行った。
俺はその吐き捨てられた唾をハンカチで拭い、ナイフを吟味する。
「ふむ・・・。」
「何やってんだよ、そこにあるナイフはどれも一緒だろう?」
「これだから戦闘狂の野蛮人は・・・。今お持ちになっているナイフと、このナイフを見比べて見て下さい。」
「あ?喧嘩売ってんのかてめぇ?買ってやるぞ?」
「はぁ、喧嘩は後にして見比べて下さい、そちらのナイフの方が曇っているでしょう?」
「それがどうした?なんか問題あんのか?」
「曇っているという事はそれだけ表面の摩擦抵抗が大きいのです。」
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