騎士集め

5/10
前へ
/201ページ
次へ
「んなもん、ガキ共に解るわきゃねぇだろ?」 「確かに最初は解らないでしょうが、使い続けるうちに解って来るのでございます、魚を100匹も卸し終わる頃にはその差は歴然となります。」 「何だ?コックでも目指すってのか?」 「いいえ、今回のサバイバルで武器になるようなものは、魔法とこのナイフだけ、魔物の群れに襲われて、技量や能力が同じであれば、最後に生き残るのは良い道具を持っている者でございます。」 「・・・、一理あるな。」 「なので、道具と言う物は適当に選んではいけないのです。」 「ほう、兄ちゃん中々良い事言うじゃねぇか。」 店の奥から頭の禿げあがった大男が現れた。 「その目利き、どこで身に着けやがった?」 「常に良い物を見ていれば、どれがどの程度の状態かを見分けるなど簡単でございます。」 「なるほど、じゃあこいつぁどうだ?」 「ふむ、手入れが行き届いていれば、相当な業物でございますが、現状では危なくて使えるような物ではございませんな。」 「そいつはどうしてだ?」 「一撃で折れてしまわれるでしょう、柄の部分より10Cm位の場所に、ヒビが入っております。」 「何?」 「それから、そこを中心に若干ではありますが、剣が曲がってしまっている。これでは敵を打った時に変な風に力が加わり、折れた刃はどこへ飛ぶかわかりません。」 「何だと?」 「嘘だと思うのであれば、剣の先に5kg程度の重りを付けてみればよろしいかと、おそらくそれで折れると思われます。」 店主は店の棚をその剣で軽くたたくと、キンッと言う子気味のいい音を立てて剣が折れた。 「目利きは確かなようだな、若いのに大したもんだ。」 「この程度の目利きができないようではロイヤル執事は名乗れませんので。」 「そんで?この店で一番いいナイフはどれなんだ?」 「これでございますね、一点の曇りもなく、鋼も全体に満遍なく行き渡っていて、ちょっとやそっとじゃ折れはしないでしょうし、表面もこれだけ滑らかに仕上げられていれば、刃を通した後の摩擦も少なくて済む、この店で一番良いナイフはこれでございます。」 全部の品をくまなくチェックしたわけではないので、絶対とは言い切れないが。 「目利きのいい兄ちゃんには特別に、こいつを売ってやろう。」 そう言って店主はレジの机からナイフを取り出して俺に見せてきた。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加