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金の柄に金の鍔、その鍔からは透明な刃が伸びていた。
「ど、ドラゴンズネイル・・・。」
「おうよ、しかも一級品だぜ?」
店主がナイフを傾けると七色の光を反射して光って見せた。
「レインボードラゴンの爪!?この辺には生息していなかったはずでは!?」
レインボードラゴンとは体色は白だが、光の当たり方、見る方向によって七色に見える事からその名前が付いた。
かなりの希少種であり、絶滅を危惧されているドラゴンだ。
「ああ、生息はしていないが、極稀に爪や鱗が空から落ちて来る事が有る。」
恐らく近くの孤島に巣が有るのだろう。
それが餌を狩りに来る際、落としていくのかも知れない。
「おいくらでしょうか?」
「120万と言いたい所だが、そっちで鑑定してくれ、あんたの目利きは確かだ。」
俺は店主からナイフを受け取って光を透かして見たり、軽くたたいたりして調べてみた。
「原価で100万、加工費込みで120万と言ったところですが・・・。」
恐らく秘蔵中の秘蔵の品、それを売ってくれるというその心意気に敬意を表したい。
「このナイフとセットで150万で如何でしょう?」
「なに?そのナイフはせいぜい5万程度だぞ?」
「これだけの名工です。将来性を考えれば安い買い物でございます。」
恐らく、15年後にはその倍の値段になる。
「即金で買えるのか?難だったら分割でも構わねぇんだぜ?」
「ええ、カードでお願いします。」
この間の給料でまたしてもとんでもない額を貰ってしまった。
「執事ってやつぁ、儲かるんだな・・・。」
「そうで御座いますね、日当3万に各種手当がついて月々200万、それに加えて臨時ボーナスが付きますので、相当まとまった金額になっているかと。」
「先月はいくらだったんだ?」
「マキ様、それはいくら何でも下世話じゃないですかね?」
「良いだろ?ちょっとくらい教えろよ。」
俺はため息をついて指を一本立てた。
「1000万か?」
「1億でございます。」
「億!?」
その殆どが黒騎士関係のグッズの売り上げとイシュタールからの謝礼金だ。
執事タケル・シノブチだけなら20分の1くらいだ。
「どうやったらそんなに稼げるんだよ・・・。」
「さぁ、私もなぜこんなに渡されるのか、理解しておりませんゆえ。」
店主がナイフを二本包んで持って来た。
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