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店主から包みを受け取って、それを懐にしまった。
「それと、テントなどが売って居るお店がどこにあるのか、教えて頂けませんでしょうか?」
「そこに置いてあるだろ?」
テントだったのかこれ・・・。ハンモックだと思ってた。
長方形の布の角4つに長い紐が付いているだけの物だ、地球出身の俺が見たらこれはハンモック以外の何でもない。
「その紐を樹木に結んで屋根にすんだよ。」
「なるほど。」
雨は凌げても風は凌ぐのが難しそうだ。
しかし携帯に便利で、樹木が有ればどこにでも設置できるから便利と言えば便利だ。
「買うんだったら、サービスしてやるぜ?」
「テントは要りませんが、大きな布を頂きたい。」
骨組みは現地調達すれば良い。
最悪の場合は樹木に木の蔦で気に結び付けてやればいいだろう。
「でかい布なんか何に使うんだよ・・・。」
「自然の敵は雨より風でございます、雨で濡れても服を絞れば体温の低下は軽減できますが、その状態でも風が当たれば体温を奪われるのでございます。」
濡れたタオルもそのままにしておくより、振り回して風に当てた方が凍りやすいのと一緒だ。
もちろん一定以上の温度が有る風なら別だが、ドライヤーと同程度の温度の風なんか自然界では期待できないだろう。
「なので、風を防いでおけば、体温の低下を和らげる事が出来るのです。もちろん濡れないに超した事は有りませんがね。」
上だけ防いでも雨が地面に当たれば1m50Cm程度までは跳ね上がってくる。
「以上の点から、屋根が有っても壁がないのは論外でございます。」
「焚火でもしとけば問題ねぇだろ、王宮育ちは軟弱だな。」
「では、火が焚けない様な強風ならどうでしょう?」
「まず、火より先にテントが消えるわ。」
「ちげぇねぇ。」
「それも解消できるのが、私の考えているテントでございます。」
「そんな便利なもんが有るならバカ売れだぜ?」
「無いなら作ればいい、人類はそうやって発展してきたのでございますよ。」
簡単な図を描いてそれを店主に渡す。
「こんな全体を囲っちまったら、魔物が来た時に困るんじゃねぇのか?」
「周りに罠でも仕掛けておけばいいでしょう。」
「中が狭すぎるだろこれ・・・。」
「寝るためだけのテントでございますので、人が一人か二人、横になれるだけのスペースが有れば良いのですよ。」
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