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次の日、王様は朝食の席で書類を読んでいた。
「何の書類をお読みになっているんですか?」
「昨夜、何者かにルナ帝国が占領されたらしい。」
「まさか・・・。」
ミリィは俺のほうに視線を向けていた。
「私でございます。」
周りの執事やメイドがどこからともなく剣を取り出し俺に突き付けてきたが、俺はただ立ってるだけだ。
「一体何の目的でこんな事をしたんだい?」
「その気になればいつでも占拠できるのだと、見せつけたまでです。」
「たった一人でかい?」
「私兵等持ち合わせてございませぬ故。」
「うーむ・・・これはどうしたらよい物か・・・。」
「ミリィ様、ご登校のお時間でございますので、馬車のほうへお急ぎ下さい。申し訳ありませんが本日はお供できそうにありませんので、別の執事かメイドを付けて下さいますようお願いします。」
「え?学校行くんですか!?こんな状況なのに!?」
「もちろんでございます、王族であるとはいえまだ学徒の身、勉強こそ本分でございましょう?」
「ミリィ、学校には行ってきなさい。」
「ですが・・・。」
「行かないと言うのであれば、今日一日執事長の授業になりますが、よろしいでしょうか?」
「学校に行ってきます。」
ミリィを見送った後、俺は謁見の間に呼ばれた。
「タケル君、あの場では言えなかったが良くやってくれた。」
「はぁ?」
「実は最近帝国に居るスパイから我が国を責めるという話を聞いていてね、今回の件で帝が戦闘不能になった事で帝国は侵略をあきらめたそうだ。だからお礼を言わせてもらうよ、戦争を未然に防いでくれてありがとう。何か欲しい物は有るかね?」
「ではこの城で一番紅茶を煎れるのが上手い人に紅茶の淹れ方を教えて頂きたく思います。」
「そ、そんな事で良いのかい?」
「私は執事です故。」
「メイド長を呼べ、この者に紅茶の淹れ方を教えさせろ。」
俺は深くお辞儀をして急いでやってきたメイド長に連れられてキッチンへ。
「メイドを統括する人物にしては若いですね。」
「そうかしら?これでも30代なんですよ?」
年齢だけ聞けばBBAだな。
「それじゃ、紅茶の美味しい淹れ方だったわね?」
それから2時間、みっちり紅茶の入れ方を学んだ。
おかげで今後魔法瓶(文字通り)に紅茶を入れて持ち歩くダメ執事を脱却できそうである。
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