魔王現る?

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「もう決めました、貴方には絶対起こして貰いません!」 「早寝早起きは健康の基本ですので、良い心がけかと。」 「誰のせいだと思ってるんですか!!」 「起こしても起きないミリィ様のせいでございます。」 食堂に付き、溜息を吐きながら座るミリィの横に座った。 「頂きます。」 「はい?何ですか?」 「倭国での食事の前のあいさつでございます、お気になさらないでください。」 用意されているのはパンとサラダ、それとスープだ。 朝はミリィの食事がギリギリになるためコースでは出てこない。 パンを千切りバターナイフでバターを塗って口へ運んだ。 「きれいに食べますね・・・。」 「昨夜練習いたしましたので。」 サラダの大きな葉をフォークでクルクルと丸めて巻き終わりを刺して食べる。 「そんなに畏まる必要はないですよ?」 「そうは行きません、執事といえども一般人、王族の前で食事をする際にはマナーを守らせていただきます。」 スープを手前から奥へと掬い口に運ぶ。 「タケル君、完璧なマナーだ。」 「恐れ入ります。これも執事長の教え方が良かったからです。」 ミリィより先に食事を済ませ、ナプキンをテーブルの上に置いて席を立つ。 「ごちそうさまでした、私は登校の準備がございますのでお先に失礼させていただきます。」 食堂を出てミリィの部屋で鞄の中身をチェックし、馬車の所に行く。 その数分後にミリィはやってきた。 「お待たせしました。」 ミリィを馬車に乗せ、出発の合図を出すと馬車が動き出した。 「タケルさん、テーブルマナー何てよく覚えられましたね。」 「一晩勉強すればこんなものでしょう。」 「お父様も感心してましたよ。」 「まだまだでございます。」 学校に到着し、いつものように朝のお茶会が開かれた。 「今日は一昨日の執事さんですわね。」 「昨日は研修のため一日お休みを頂いておりました。」 もちろん表向きの理由だし、ミリィとも話を合わせてある。 目の前で紅茶を淹れてお嬢様方の前に置いた。 「あら、いい香りだわ・・・。」 「研修の成果でございます。」 「味も悪くないですわ。」 お茶菓子にクッキーを出して朝の仕事がひと段落着いた。 「メイド長に引けを取りませんね。」 「直伝でございます。」 どうしてもあの風味だけは真似出来なかった。
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