魔王現る?

5/10

53人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「ミリィ様、聞きましたか?帝国が侵略されたそうですわ。」 「怖いですわね・・・。」 「存じていますが、何も恐れることはありません。」 「あら、私たちの知らない情報をお持ちなのですか?」 「これでも一国の姫ですから。」 「私たちにも教えて下さらない?」 「国家機密なので、それは無理です、ごめんなさい。」 もうここまで話が広がっているのか・・・。 お嬢様方のお茶会が終わり机を片付ける間、ミリィに複雑な視線を向けられた。 「いずれは、ばれる事でございます。」 「その時あなたは救国の英雄として讃えられるんですね。」 「侵略の魔王と罵られる可能性もございますね。」 ミリィは少しだけ微笑んで片づけられた机の上に教科書を乗せた。 「そう言えば一昨日絡んできた執事さんが居られませんでしたね。」 「貴方を貶めようとした罪で解雇したそうです。」 「それはそれは、ざまぁないですね。」 「普通はご愁傷さまとか、悪い事をしてしまったとかいう場面ではないですか?」 「すみません、素直すぎる弊害として平にご容赦を。」 教師が教室に入ってきた所でミリィは前を向き、授業に専念し始めた。 1限目は数学。 「この前タケルさんと勉強したところです!」 進研○ミかと心の中でつぶやいて嬉しそうなミリィを見つめた。 「これからも継続して勉強していきましょう。」 これをきっかけに苦手意識をなくしてくれればいいが。 何でもミリィは掛け算を習う時に風邪で学校を休み、それ以来勉強に付いて行けていなかったそうだ。 嬉しそうな顔で授業に臨むミリィを見て自然に笑みが浮かんだ。 「あ、タケルさんの笑顔、初めて見ました。」 「左様ですか、おめでとうございます。」 「おめでたい事のついでにこの問題を解いてみてくれないか?執事殿?」 「かしこまりました。ついでに解り易く解説も入れましょう。」 俺は前に出て問題を解説しながら説いた。 「ほほう、流石は王族の専属執事なだけはあるな。」 「恐縮でございます。」 皆に拍手で讃えられた。 「解り易くてとても良い解説でした。」 「有りがたきお言葉です。」 魔法学の事についても城にあった資料を読めるだけ読み、詰め込めるだけ詰め込んだ。 「歴史だけはどうにも不得手でございますが。 「元々この国に来たのが3日前ですから、当然です。」
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加