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「ミリィ様、聞きましたか?帝国が侵略されたそうですわ。」
「怖いですわね・・・。」
「存じていますが、何も恐れることはありません。」
「あら、私たちの知らない情報をお持ちなのですか?」
「これでも一国の姫ですから。」
「私たちにも教えて下さらない?」
「国家機密なので、それは無理です、ごめんなさい。」
もうここまで話が広がっているのか・・・。
お嬢様方のお茶会が終わり机を片付ける間、ミリィに複雑な視線を向けられた。
「いずれは、ばれる事でございます。」
「その時あなたは救国の英雄として讃えられるんですね。」
「侵略の魔王と罵られる可能性もございますね。」
ミリィは少しだけ微笑んで片づけられた机の上に教科書を乗せた。
「そう言えば一昨日絡んできた執事さんが居られませんでしたね。」
「貴方を貶めようとした罪で解雇したそうです。」
「それはそれは、ざまぁないですね。」
「普通はご愁傷さまとか、悪い事をしてしまったとかいう場面ではないですか?」
「すみません、素直すぎる弊害として平にご容赦を。」
教師が教室に入ってきた所でミリィは前を向き、授業に専念し始めた。
1限目は数学。
「この前タケルさんと勉強したところです!」
進研○ミかと心の中でつぶやいて嬉しそうなミリィを見つめた。
「これからも継続して勉強していきましょう。」
これをきっかけに苦手意識をなくしてくれればいいが。
何でもミリィは掛け算を習う時に風邪で学校を休み、それ以来勉強に付いて行けていなかったそうだ。
嬉しそうな顔で授業に臨むミリィを見て自然に笑みが浮かんだ。
「あ、タケルさんの笑顔、初めて見ました。」
「左様ですか、おめでとうございます。」
「おめでたい事のついでにこの問題を解いてみてくれないか?執事殿?」
「かしこまりました。ついでに解り易く解説も入れましょう。」
俺は前に出て問題を解説しながら説いた。
「ほほう、流石は王族の専属執事なだけはあるな。」
「恐縮でございます。」
皆に拍手で讃えられた。
「解り易くてとても良い解説でした。」
「有りがたきお言葉です。」
魔法学の事についても城にあった資料を読めるだけ読み、詰め込めるだけ詰め込んだ。
「歴史だけはどうにも不得手でございますが。
「元々この国に来たのが3日前ですから、当然です。」
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