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放課後、俺とミリィは国王の部屋に来ていた。
「お父様にご報告が有ります。」
「ん?タケル君と結婚でもするのかな?」
「違います!」
「今夜、アビラを征服しに行きます。」
「急だね・・・。」
「目標は大陸じゃなくて世界ですので、少しでも早く大陸を制覇したいのです。」
「神国は遠いが、大丈夫なのかい?」
「問題ありません、今夜出立すれば、明日の朝には戻って来る事が可能です。」
「ほう、何か策があるようだね。」
俺は今朝がた考えた作戦を国王に話して聞かせた。
「なるほど、空路か・・・。」
「入り江を迂回すれば1週間はかかる道のりですが、一直線に結んでしまえばルナ帝国と同じくらいの距離になります。」
「しかし、そんなに簡単にアビラが落ちるとは思えないのだが?」
「チェスと一緒です、キングさえ取ってしまえば試合は終了、そしてこちらにはそのキングまで一直線に他の駒を飛び越えて攻撃できる駒があるのです。」
「ふむ・・・、しかしなぜ今回は私に報告をしたのだね?」
「アビラとルナを私が独断で制圧した場合、王国は近いうちに落されることに成るでしょう。」
「む?どういう事だ?」
「アビラとルナの支配者が私となれば、奴らが手を組もうとするのは明白、そうなればいくら帝がいないとはいえ王国も危ないかと。」
「なるほど・・・。」
「それともう一つ、ルナがアビラに助けを求めた場合のリスクを取り除いておきたいのです。」
ルナは入り江の中心より少しだけ王国よりの場所にある国だ。
その気になれば王国より早くアビラに到着できる。
「解った、出撃を許可しよう。」
「お父様!?」
「ありがとうございます。それではこれよりアビラ征服に赴きます。」
おっと、これを渡しておかなければ。
「国王様、こちらの念書をルナ帝国の帝王にお渡しください。」
俺は王様の部屋を出て城の屋上に上った。
「タケルさん、武器が無いようですけど?」
「必要ありませんので、持って行って余計に警戒される方がマイナスになります。」
すっと浮き上がってゆっくりとミリィから離れた。
「明日の朝は風呂に落されないように早起きをしてください。」
「寝坊しても落とさないでくださいよ!」
俺は手を振ってそのまま神国に向けて飛んだ。
速度は音速を超えて、魔力のシールドなしには息すら出来ない。
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