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「あと、今回の攻撃は王国の新兵器という事になっております。」
「一体どんな兵器だって言ったんだい?」
「人間を乗せた鋼鉄製カプセルを音速を超えて射出する兵器だと。」
「そんな夢の様な兵器が作れるわけないだろう?」
「大丈夫です、私からすれば、魔法こそ夢のような物ですから。」
魔法さえ使えれば、電磁速射砲くらい楽に作る事が出来る。
「一週間以内には試作品をご用意できるかと。」
「君は一体何者なんだい?」
「死ねない死にたがりの、執事でございます。」
深々と頭を下げて王の部屋を後にした。
自室に戻ると、爺がひとのベッドに腰かけていた。
「何でいる?」
「いや、そろそろお困りなんじゃないかと思ってね。」
「大量の銅線と鉄が必要だ。」
「そうかい、何を作るんだね?」
「大型の電磁速射砲、レールガンだ。」
「なるほど、君は電気部品の図面は読めるかね?」
「ある程度は読めるが、俺が読めても意味はないだろ?」
「そこは問題ない、君が作ってそれを元に同じ様に作らせれば良いのだろう?」
なるほど、それもそうだ。
「電気は魔法で補うから、問題ない。」
「それなら城の大砲を一基頂戴すればいい、それに魔法陣を書いて魔力シールドをレール代わりに射出すればいいのだよ。」
簡単に言ってくれるが、その魔法陣を作るのが大変なんだ。
「これは昔、私が趣味で作った式だよ、これを参考に頑張りなさい。」
その式はもうすでに魔法陣として完成されており、後はこれを大砲に組み込めば完成と言う所まで出来ていた。
「あの爺・・・。」
きっと俺への罪悪感からのサービスなのだろう。
そういう事なら遠慮なく使わせてもらう。
「よし、とりあえず本でも読むことにするか。」
執事服の内ポケットに魔法陣をしまって椅子に座り、本を開いた。
今日の参考書は忙しい人のための魔法陣だ。
「なるほど・・・。」
そう言えば、ルナ帝国の事を報告し忘れたな。
「明日で良いか・・・。」
結局俺が床に就いたのは朝の4時半。
起床が5時、速攻でシャワーを浴びて執事服に着替え、学校に持って行くものを鞄に詰めてぴったり6時半。
「さて、今日もあいつを起こしに行くか・・・。」
溜息を漏らしながら重い足取りでミリィの部屋に向かう。
「起きててくれりゃ、軽い仕事なんだけどなぁ。」
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