篠淵武流は眠らない

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その日一日、俺は笑顔で過ごす事が出来た。 「体調が悪い割には随分と嬉しそうですね。」 「勿論ですとも!もしかしたらこのまま死ぬかもしれないですよ?」 これが嬉しくない筈がない。 朝は頭痛程度だった体調不良は昼には吐き気、発熱、そして放課後の今となっては腹痛や関節痛、悪寒、果てには眩暈まで発症している。 「帰ったらお医者様に見てもらいましょう。」 「お断りします。」 「ですけど、体調が悪いのなら治さなきゃだめですよ。」 「これで死ねるかも知れないんです、邪魔をしないでください。」 結局医者は呼ばない事となった。 しかし夕食が薬膳料理だった。 「くっ・・・。」 「わぁ、おいしそうですね!」 「私は所用を思い出しましたのでお食事は結構です。」 「誰かタケル君を椅子に縛り付けなさい。」 裏切ったな国王!!貴様絶対に許さんぞ!! 「離せ!せっかくの体調不良が、こんな健康的で栄養満点な料理を食べたら治ってしまうじゃないか!」 「タケル君、悪いのだが、今ここで君に死なれる訳には行かんのだ。」 「諦めてくださいよ、大人しく食べてください。」 「くそ!体調が悪くて力が出ない!止めろ!その料理を俺に近づけるな!!やめろぉぉぉおおおお!!!!」 「はい、あーん♪」 ミリィの手ずから料理を食わされた。 「んごぉぉおおおおおお!!!!!」 結局椅子に鎖で縛りつけられ、薬膳料理を無理やり食べさせられ、医者を呼ばれて注射された挙句、無理やり寝かしつけられてメイド長に監視されて、枕を濡らしながら迎えた次の日、体調は全快してしまった。 「今日は一日休みを貰ってあげたから、大人しくしてください。」 今日はモモがミリィと学校に行くらしい。 「くっ・・・次に体調不良になったら家出してやる・・・。」 ミリィが俺の部屋に帰宅報告をしに来るまでの記憶がない。 もしかしたら寝ていたのかもしれない。 「ただいま帰りました、体のお加減はいかがですか?」 「お陰様でこの城に来た時より体が軽いです。」 チッと舌打ちをしながら答えた。 「そうですか!それじゃ明日からまた、よろしくお願いしますね!」 ミリィはニッコニッコしながら部屋を出て行った。 隣ではメイド長がクスクスと笑っているのが癪に障った。 「何を笑っているんですか?」 「かわいい寝顔でしたわ。」
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