最低の人生

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「きゃぁあああああ!!!!」 さっきの女の叫び声が後ろの森の方から聞こえてきた。 今だって付いて来られてうんざりしているのに、あの世にまで付いて来られたんじゃ堪ったもんじゃない。 「ちっ・・・。」 俺は声のした方に走って戻った。 「間に合え!!!」 でかい猪の突進をすれすれで回避し、女を抱えて地面を転がった。 「おい!無事か!?」 女は気絶したようで、俺の腕の中でぐったりしていた。 「くそ、役にもたちゃしねぇ・・・。」 女担ぎ上げてでかい猪から距離をとる。 イノシシはふごー!ふごー!と荒い鼻息を吹き出し今にも襲い掛かってこようとしている。 「何か武器になりそうなものは・・・。」 あたりを見渡すと女の腰に剣があった。 「なんなんだこいつ、何で剣なんか持ってんだ?」 疑問もそこそこに俺はその剣を抜いて構える。 女が頭から地面に落ちたが気にしない。 「ぶぉおおおおおおおお!!!!!」 イノシシは雄たけびを上げて一直線に俺の方に走り始めた。 「んなろぉおおおおおおお!!!!」 俺は剣を縦一閃、イノシシはヌルリと言う感触を残して真っ二つになった。 「すげー切れ味だな。」 剣に付いた血をふるって落とし、女の腰にある鞘に戻した。 「めんどくせぇ・・・。」 俺は再度女を担ぎ上げて、さっき見た石レンガの壁の方に戻った。 「それにしてもでけぇかべだな・・・。」 壁に沿って歩いていくと、何やら入口の様な所に付いた。 でかい門とその両脇にごついおじさんがふたり。 「すんません、こいつ森の中で倒れてたんで届けに来ました。」 「そうか、ご苦労様、君の名前と国籍を教えてくれるかな?」 「名前は篠渕 武流、国籍は日本だ。」 「ニホン?聞いたことのない国だが、名前の感じからして、倭国の事かな?」 「多分そうだ、極東の国って呼ばれてる。」 「ならそうだな、しかしこの国に倭国から人が来るとは珍しい。」 そんな事はどうでも良いからさっさと女を受け取ってほしい。 「そんじゃ、こいつはここに置いておきますんで、目が覚めたら中に入れてやってください。」 女を地面に寝かせて俺は門とは反対側に歩き出す。 「ちょっと待ちなさい、君の連れじゃないのか?」 「違う、森の中でイノシシに襲われてたところを助けただけだ。」 やっとあの女とお別れできるぜ。
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