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次の日、俺はいつもの様にミリィを風呂に落した。
「ひにゃぁあああああ!!!!!!」
「今日は一段と胸がすく様な、気持ちの良い悲鳴でございますね。」
後の事をモモに任せて国王に挨拶がてら昨日の夜中の出来事を報告した。
「森林国家ダルメルを壊滅させてきました。」
「ぶっ!!ごほごほごほ。」
「体調が良くなりすぎてしまって、森林国家なのに草の根一本残さず完全に壊滅させてしまいました。」
「一晩でダルメルを壊滅させただと!?」
「これも皆様の介抱あっての事、因みにあの国の人々は全員無事でございます。今頃は王国に難民として受け入れの要請をしている頃ではないかと。」
「なぜ独断で行った?」
「八つ当たりにございます。」
王様は引きつった笑顔を俺に向けてくれた。
「君は多少体調が悪い方が安全かも知れないね。」
「解って頂けた様で何よりです。」
俺も国王に次に邪魔をしたら許さないという意味で黒い笑顔を送っておいた。
「たけるさ~ん!!!!!!」
「ミリィ様が呼びの様なのでこれで失礼します。」
「ああ、これからも体調には十分気を付けてくれたまえ。」
「有りがたきお言葉、肝に銘じておきます。」
深々とお辞儀をして怒り心頭のミリィの横に腰かけた。
「何でいつもいつもお風呂に落すんですか!?しかも今日は嫌味まで言ってくれましたよね!?」
「おかげで朝から大変スッキリいたしました。」
心底スッキリした爽やかな笑顔で答えてやった。
それは丸二日砂漠を彷徨った後、シャワーを浴びた時の様な、本気でスッキリしたと思わせる笑顔だったとモモは語った。
「一昨日、あんなに看病してあげたのに、恩を仇で返すなんて、もう体調が悪くなっても看病してあげませんからね!」
「はい、望むところでございます!次は是非とも死ぬまでもがき苦しむ様をご覧下さい。」
「それはそれで後味悪そうです・・・。」
馬車で学校に向かう途中、ミリィが体調不良を訴えてきた。
「む、すみませんが御者さん、お城に引き返してください。」
お城に引き返し、国王に事情を説明し、モモに頼みミリィを着替えさせてベッドに寝かせた。
「私の風邪が移ったのでしょうが、変ですね。」
「何がですか?」
「古来より馬鹿は風邪を引かないと申しますのに。」
「人が苦しんでる時くらい、優しくしてください。」
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