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ミリィが風邪で寝込んで学校に行く必要がなくなったから、俺は城の大砲を一基頂戴して改造に勤しんでいた。
「まずは半分に切って、ここにこれを彫って、この魔法陣をこっちに彫って。」
「タケル君、そんな物を何に使うのかね?」
「新兵器開発です。9割方完成しております。」
「何か、見栄えが良くない新兵器だね・・・。」
「それは素材が悪いのでしょう、試射を行いますので少々離れていて下さい。」
大砲に弾を詰め、魔法陣に魔力を流すと、魔力シールドのレールが展開した。
「発射!」
ギィン!と音が鳴って大砲の弾が光の帯を引きながら飛び出した。
「どこまで飛んで行ったんだい?」
「計算ではおよそ2km先で空気摩擦によって燃え尽きている筈でございます。」
砲弾の大きさはおよそ1500mm
全部鉄でできているため、めちゃくちゃ重かった。
「ふむ・・・。」
「魔力シールドが無ければ城壁ぐらいは貫通できるかと。」
魔力シールドは魔法攻撃にはあまり効果がないが、物理攻撃には絶大な効果を発揮する。
因みに魔法を無効化するシールドは魔力リフレクターと呼ばれる。
「魔力シールドは貫通できないのか・・・。」
初速でなら何とか撃ち抜けるかもしれないが、500mほど離れてしまったら貫通させるのは難しいだろう。
「お望みとあらば、切り替え式で魔道砲でも付け加えましょうか?」
「いや、未完成の方が敵に奪われた時のダメージが少ないだろう。」
「では別途製作いたします。」
「それよりタケル君、今日は給料日なのだ。」
「いりません。」
「そういわれても困ってしまうのだが・・・。」
「それでは、城の宿泊費と食費で相殺としましょう。」
「うーむ、その程度で相殺できるほど小さな額ではなくてね。」
一体いくらなんだ?
「通常の執事の給料は一日1万カラルで、君の場合は王族の専属だからプラス2万カラル、さらに侵略の特別報酬が1国で300万カラルで、3国落しているから900万カラル、合計すると、この1週間で921万カラルになる。」
「参考までにお聞きしますが、宿泊費と食費はいかほどでございましょうか?」
「食費と宿泊費は合計しても1日100カラルだね。」
「ではこの先3万5千6百日分の宿泊費を先払いさせてもらいます。」
つまり100年の予約だ。
「豪胆な使い方だね。」
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