新兵器完成

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その夜、俺は国王に呼び出された。 「ダルメルからの救助要請が届いたよ。」 「左様でございますか。」 「それとイシュタールから、新兵器開発に協力する代わりに平和条約を結ぼうと提案があった。」 もうルナかアビラから新兵器の話を聞いたようだな、予定通りだ。 「そちらは蹴ってしまって構いません。近々落す予定ですので、今平和条約を結ぶのは無駄かと。」 「ふむ、私は平和条約を結んでそのまま吸収するのが良いと思っているのだけれど。」 「その辺の判断はお任せしますが、結果の報告はお願いします。」 「ああ、それより、ミリィの体調はどうだい?」 「先ほどおかゆを食べさせたので、今頃はお眠りになっておられるかと思われます。」 「そうか、明日からは学校に行けそうかい?」 「問題ございません。」 王様はほっとした顔で椅子の背もたれに背中を預けた。 「用件は以上でしょうか?」 「ああ、君の給料だけどね、500万上乗せになったよ。」 「返金は可能ですか?」 「無理だね、新兵器と言う結果が出てしまっているからね。」 使い道に困る大金だ。 「家一軒建てられそうな金額になってしまいましたね。」 「そうだね、ところでタケル君、君はギルドには登録しているかい?」 「ギルドでございますか?行ったことが御座いませんね。」 「それなら、明日の学校帰りにでも行ってくると良い、ギルドカードは身分証明書にもなるからね。」 身分証か・・・。 これからミリィの世話をするに当たって必要になるかも知れないし、作っておいて損はなさそうだ。 「君なら問題はないと思うけど、うちの執事は最低Sランクである必要があるんだ。」 「はぁ、そのSランクを取るのに国を落すより苦労する試験はございますでしょうか?」 「まずない、帝国の帝達のランクが最低SSランク、それを倒せるタケル君なら問題ないだろう?」 あれがSSランク・・・。 「くっそ弱いでございますね。」 「彼らは一人で大隊規模の戦力があると言われているのだが・・・。」 「1対多なら多が勝つのは明白、結局それも比喩に過ぎませんな。」 王様は冷や汗をかいて笑った。 「王国にも帝と同じような者達を作ればよろしいのでは?」 「君はその一人になってくれるのかい?」 「執事の仕事の片手間で良ければ、お引き受けしましょう。」
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