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翌日、俺は珍しくミリィを優しく起こしてみる事にした。
病み上がりだし、お風呂に落すのもかわいそうだと思ったのだ。
「ミリィ様、朝でございます。」
「ん~・・・ほっとけーきぃ・・・むへへ」
「ミリィ様、早く起きて下さらないと、入浴のお時間が無くなってしまいますよ?」
俺が優しくミリィを揺すりながら声を掛けるとミリィは跳ねるように飛び起きた。
「だ、誰ですか貴方!?」
「タケル・シノブチでございますが、もしや記憶が・・・?」
「に、偽物です!残念でしたね偽物さん!タケルさんはそんな優しい起こし方してくれませんよ!!」
そうか、そんな認識を持っていたか。
そうかそうか、それなら今日もやってやろうじゃないか。
「ミリィ様、これは夢でございます。早く起きないとまたお風呂に落されると、警告しに来たのでございます。」
「そ、そうなのですか!?」
「早くベッドで寝なおさなければ!もうすぐお風呂場に運ばれてしまいます!さぁ!急いで!!」
「あ、あわわわわ!!」
ミリィは布団に包まって慌てて寝始めた。
俺はそれを持ってお風呂場に。
勿論投げ込みました。
「ひにゃぁああああ!!!!間に合わなかったぁあああ!!!」
「おはようございますミリィ様。」
「今度は本物です!夢の中の優しいタケルさんじゃないです!!」
「先ほどから夢などではございませんでしたが?」
「むきぃいいい!!!!」
後の事をモモに任せて脱衣所の外で待機。
「何で一度起きたのにお風呂に落したんですか!?」
「ミリィ様はお風呂に落ちないと満足なさらないご様子でしたので。」
「私はどんな変態なんですか!?」
それこそ知った事ではない。
「それよりも、朝食の時間が押しておりますので、お急ぎください。」
食堂に到着し、ミリィを椅子に座らせて俺も自分の椅子に座った。
「いただきます。」
「タケルさん!朝はもう少しソフトにお願いできませんか?」
「ソフトに起こした結果、偽物と呼ばれ、挙句夢だと信じ込んだのはミリィ様でございましょう?」
「うぐ・・・。」
「ミリィ様の中ではどうやら、お風呂に投げ込まれないと私が起こした事にはならないようなので、明日からも継続して行く所存です。」
「謝りますから、明日もソフトにお願いします。」
「後悔とは先には立たないものでございますよ。」
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