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「マフとろですぅ・・・。」
マフマフの蒸しパンの中にチョコレートソースを仕込んだ。
「これから休日のおやつにはこれを出してください!」
「お気に召された様で何よりでございます。」
ミリィの表情を見た他の三人も、慌てて蒸しパンを手に取り、意を決して噛り付いた。
「こ、これは!!」
「くっ・・・、庶民はこんなに美味しい物を食べていたと言うの!?」
「貴方が作ったのかしら?」
「蒸しパンの作り方はメイド長から聞きましたが、中にチョコレートソースを仕込むのは私の案でございます。」
「流石ですねタケルさん、お代わりはないんですか?」
「先程も申し上げたように、試作品でございますので、そんなに大量には作ってございません。」
「そうですか・・・残念です。」
その日一日、ミリィは蒸しパン蒸しパンと呟いていた。
「ミリィ様、今日は帰りにギルドの方に行きたいのですが、よろしいですか?ダメだと言うのであればお城に帰ってから一人で行きますが。」
「良いですよ、何しに行くんですか?」
「登録でございます。私、ギルドには行った事が御座いませんので、本日はギルドに登録し、ギルドカードを作成するのが目的でございます。」
「あれ?お城の執事は最低Sランクが条件じゃありませんでしたか?」
「ミリィ様が無理矢理私を執事にしたのではないですか?国王様も私が執事になる際にはギルドの事を聞いて来られませんでしたし。」
「まぁ、帝国を落すほどの実力者ですから、誰もS未満だ何て思いもしなかったんでしょうね。」
そう、誰も俺にランクの事を聞いて来なかったのだ。
雇用二日目にして大陸最強と名高い帝が揃うルナ帝国を落した事で、実力はSSランク以上であると皆が認識してしまった。
「でも、AランクからSランクになるには試験を受ける必要がありますよ?」
「存じております。ギルドマスターを倒せば良いのでしたね?」
「王国のギルドマスターは王国の最強集団ですから、そう簡単には倒せないと思いますよ?」
「なるほど、王国の帝のような存在ですか・・・。私を殺せる者が居ると良いのですが・・・。」
「変なところに思いを馳せないで下さい。どこのギルドに行くんですか?」
「任務中のお世話などを考えて、ミリィ様と同じギルドを予定しております。」
「私のカードは本当にただの身分証ですよ?」
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