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ギルド獅子の咆哮。
「ミリィ様、何故このギルドを選ばれたのですか?」
「獅子って、ライオンの事ですよね?私、ライオンが好きなんです♪」
獅子はライオンだけど、きっとミリィの考えてるライオンと、獅子と呼ばれるライオンは別の物だと思う。
「あ、登録の際に紹介者が居れば紹介者には金一封があるんです。」
「はぁ・・・、王族ともあろうお方が、ギルドの紹介料の金一封が欲しいのですか?」
「今月はちょっとお買い物をし過ぎてしまって、ピンチだったんですよね。」
「執事として情けない、本当に情けない、ただただ情けない。」
「そ、そこまで言わなくても良いじゃないですか!?」
「国民の血税を貰っておきながら、無駄遣いをしてお金が足りなくなるなど国を預かるものとしての意識が欠けて居ります!」
「ぐぬぬ・・・。」
「挙句それで体重が3kgも増えてしまったなんて、恥かしくて国民に顔向けできませんね。」
「何でそこまで詳しく知ってるんですか!?」
「そんな事はどうでも良いのです!」
「え?あ、はい・・・。」
「国民からの血税で、文字通り私腹を肥やす王族にあるまじき行為!明日の朝からお風呂の前に私と1時間みっちりジョギングをしてもらいます!期限は増えた体重が元に戻るまでです!!」
「いやぁああああ!!!!!」
「あのさぁ、店の前で騒がないで欲しいんだけど・・・。」
ミリィの叫び声で普通よりちょっと筋肉質な女性がギルドの中から出てきた。
「おっと、これは失礼しました、ミリィ様のせいで怒られたじゃないですか・・・。」
「私のせいですか!?」
「で?あんたは客かい?」
「ギルドの登録に来ました、ついでにSランク試験を受けさせていただければ幸いでございます。」
「ほう・・・。」
女性の目がキッと細まり、俺をにらみつけてきた。
「あんたみたいなひょろっこい野郎が、このあたしと戦いたいと?」
どうやらこの女性はギルドマスターの様だ。
「人を見かけで判断する事は、命取りになりかねませぬ故、ご注意くださいませ。」
「ほう、言うじゃないか・・・。良いだろう、試験の許可を与える。」
「私はこれでもミリィ姫専属の執事でございます。」
「そんなの関係ないね、ここじゃ強いやつが偉いんだ。」
ミリィ、お前は絶対に入るべきギルドを間違えていると思うぞ?
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