猫がいる日

2/10

53人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
ギルドカードを受け取り、城に戻って国王に報告した。 「マキ姉さんを倒した!?」 「実質スタミナ切れで倒れただけにございます。」 国王が姉さんと呼んだ事に笑いそうになったが、何とかこらえた。 「とにかくSランク昇格ご苦労様、今日はゆっくり休みなさい。」 「失礼します。」 一礼して退室した俺は、その足で自室に戻り、ボロボロになってしまった執事服を壁に掛けた。 「ふむ・・・。」 しばらくはボロボロのままにしておこうと思う。 「らしくない事だな・・・。」 翌朝、ミリィを起こすためにミリィの部屋に行くと、すでにミリィは部屋に居なかった。 「珍しく自分で起きたか・・・ん?」 布団からミリィの寝巻が見える。 「はぁ、寝間着は脱いだら洗濯籠に入れる様にいつも言ってるのに。」 布団をめくり、寝間着を持ち上げると中から猫が出てきた。 「にゃ?」 「ふむ・・・。」 しばし猫と見つめあい、俺は深々と頭を下げた。 「おはようございます、ミリィ様。」 ミリィ?は大きなあくびをしてまた丸くなった。 そういえば昨日、朝はソフトに起こしてほしいと言っていたな。 「ミリィ様、早く起きないと学校に遅刻してしまいます。」 優しく頭をなでながらミリィ?を起こして手に持って運び、風呂に向かった。 「ご入浴のお時間でございます。」 ミリィ?を抱いたまま浴室の扉を開けると、全裸のミリィ(人型)が目の前に立っていた。 「??失礼いたしました。」 「いやぁあああああ!!!!」 扉を閉めて脱衣室の外で待機。 「堂々と覗きなんて何考えてるんですか!?」 「いえ、ミリィ様が猫になってしまったのでご入浴させるために風呂場にやってきたのですが、なぜ人型のミリィ様が?」 「私はもともと人の形です!!」 「そうでございましたか、ミリィ様の寝巻の中で丸くなって居られたものですから、てっきりミリィ様かと。」 「にゃー」 猫はもぞもぞと俺の腕から抜け出して肩に座った。 「この子が6時ごろ私のベッドの中に入ってきて目が覚めたんです。」 「なるほど、ミリィ様を早起きさせるなんて、中々使える猫ですから、この猫はリリィと名付けましょう。」 「私の名前と似てますね!」 「ミリィ様が世話をして下さい。」 「え?私がお世話するんですか!?」 「他に誰が世話をするんですか?」
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加