最低の人生

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「世の中ってやつに嫌気がさしたからだ。」 「それで死のうと思うなんて・・・。」 「世界の方が消えてくれれば、俺は死ななくていいと思う。」 つまり、世界に存在することが嫌なのだ。 「一国の姫として、あなたを保護観察します!」 「余計なお世話だ、どうせ役に立たないってわかったら捨てるんだろ、だったら最初から保護するとか言うんじゃねぇよ。」 どうせこいつも、親戚たちと同じだ。 「それなら、あなたを私の執事として雇います!」 はぁ、本気でうざってぇ・・・。 雇えるもんなら雇ってみろ、万が一雇ったとしても、こんな屑なんか3日でくびになる。 「まずはお父様に紹介しますから、付いて来てください。」 国の中に連れ込まれ、でかい城の前まで来た。 「おかえりなさいませ、姫様。」 「門番、ご苦労様です。」 「はっ!猫の子一匹通しません。」 ごみ屑が一つ通りますけどね。 俺は軽く頭を下げて城門をくぐった。 「おかえりなさいませ、姫様。」 「お掃除お疲れ様です、あなた達のおかげで私たちはいつも気分良く過ごせてます、ありがとう。」 「もったいないお言葉です。」 その後もすれ違う人たちに挨拶をして回る姫様。 「ここが謁見の間です。」 「ああ、で?」 「ここで待っていて下さい。」 姫様はでかい扉の横の小さい扉から中に入っていった。 「どうぞ。」 数分して、姫様はその扉から俺を招き入れた。 「君が娘の命を救ってくれた少年かね?」 「あそこで死なれて、あの世まで付いて来られたら嫌だったので。」 「そんな理由で助けたと申すか?」 「他に助ける理由なんてありませんでしたので。」 「無礼者!国王、この物を即刻死刑に!」 死刑!?そりゃ良い、是非ともやって欲しい。 実際に死ねるのなら、なんだって構わないのだ。 「世界樹の場所さえ解れば勝手に死にに行きますんで、死刑にする際には世界樹の場所を教えてください、自分は不老不死らしいんで、死ぬには、世界樹の一番太い枝で首を吊らなきゃいけないらしいんですわ。」 「でたらめを申すな!この場で手打ちにしてくれる!!」 王様の側近らしき男が剣を抜いてそれを振りかぶる。 俺は地面に膝をついて首を差し出すようにうなじを見せた 本当に死ねないのか、傷つく事すらできないのか、それを確かめたいと思った。
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