王国の帝

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あの日、ミリィの部屋に戻るとミリィに泣きながら謝られた。 「もし殴った事を気にしているのなら、問題ありません。鉄で殴られてもナイフで切り付けられても傷を負いませんので、今更か弱い女性の張り手ぐらいでは痒みすらございませんでした。」 その日からミリィは、俺がプレゼントしたネックレスを付ける様になった。 「そう言えばタケルさん、お父様が言ってたんですが、王国にも帝国の帝の様な特殊部隊を作るって知ってましたか?」 「聞き及んでおります、提案したのは私でございますので。」 特殊戦闘部隊『七曜の騎士』は、各属性ごとに白、紫、緑、赤、青、黄の騎士とそれをまとめる黒の騎士の7人が選ばれる。 主な仕事は侵略。 「タケルさんはその一人なんですか?」 「一応、リーダーである黒が私となっている筈でございますが、それは仮決定なのでまだどうなるのかは解りません。」 「他の人はどんな方でしょうね。」 「国立の6大ギルドから各ギルドのマスターが一人を選出する事にはなっておりますが、戦力としての期待は薄くございますな。」 騎士の一角にはそれなりの権利が与えられ、魔道鉱石ミスリルで作られた鎧一式とグラムデイルと呼ばれるこの世界で一番固い合金で作られた剣が支給される。 それと各々の色のマントも支給されるが、ただの布だ。 「それと、新兵器を小型化した銃が1丁ずつ支給されます。」 「新兵器なのにそんな簡単に支給しちゃっていいんですか?」 「普通の弾丸での射程距離はおよそ60m、威力は3分の1程度でございますゆえ、持っていても城壁を壊すことは不可能かと存じます。」 時計を見ると勉強の休憩としては長い時間がたっていた。 「さぁ、無駄話はここまでにして、勉強を再開しましょう。」 「はい!試験でいい成績が取れたので、俄然やる気が出てきました!」 結果は魔法学以外全部100点。 魔法学のひっかけ問題『基本属性を全て答えろ。』と言う問題で無属性を書き忘れたからだ。 「そう言えばタケルさん。」 「おしゃべりは勉強の後にしましょう。」 さっきからどこか集中力が欠けている。 やる気自体は有るようなので、何か気になる事でもあるのだろう。 「はぁ・・・何ですか?」 「え?何がです?」 「さっきの質問、何を聞こうとしたのですか?」 「ああ、タケルさんの誕生日を。」
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