王国の帝

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翌日の朝、ミリィは目の下にクマを作ってベッドに座っていた。 膝の上にはいまだに飼い主が見つからない猫、リリィが丸くなって眠っている。 「朝のご入浴の時間でございます。」 「タケルさん、どうしましょう・・・。」 戸惑ってはいるようだが、どこか嬉しそうな顔だ。 「私の婚約者、私の好きな人でした。」 「そうでございますか、それは良い事でございますね。」 「嬉しくて、眠れませんでした。」 それは目の下のクマを見れば理解できることだ。 「それでは今日は学校をお休みください。本日の授業は午後から私が行いますので、それまでお眠りください。」 「いえ、大丈夫です!全然眠くありません!!」 「眠くないのは結構でございますが、その顔でご登校なされると、その好きな人に笑われる可能性が御座います。」 そういって手鏡をミリィに渡した。 「ひ、ひぇええええええ!!!!!」 うん、毎朝聞いているけど、ミリィの悲鳴は実にスッとする。 「ご理解いただけましたら、入浴と食事を済ませてベッドにお戻りいただきますようお願い申し上げます。」 「はい・・・。」 「私は一足先に食堂に赴き、国王にこの事を話しておきます。」 モモに後を任せて食堂に足を運ぶと、その途中で国王を見つけた。 「国王様、おはようございます。」 「ああ、おはよう。」 「本日はミリィ様のお体が優れない様なので、学校はお休みさせていただきます。」 「何かあったのかい?」 「婚約者を告げられて眠れなかったそうで、目の下にクマが出来ております。」 「そうか、解った。今日一日よく面倒を見てやってくれ。」 「畏まりました。」 食堂に入っていく国王を見送り、扉の外でミリィを待つことにした。 「タケルさん、目の下のクマ、どうですか?」 「まだまだクッキリでございますね、やはり寝不足が祟っているのではないかと。」 「モモさん!」 「はい、姫様。」 俺はモモにいきなりアイマスクを付けられ、両手を縛られた。 「何の真似でしょうか?」 「私が食事を済ませて部屋に戻るまで、外さないで下さいね。」 まぁ、執事長の特訓のおかげで目が見えない程度ならどうこうなる訳では無いが、両手は使わせてほしい。 「せめて手は開放してください。」 「手が使えたら目隠し取っちゃうじゃないですか。」 溜息が出てしまった。
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