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「国王様から話は聞きましたので隠さずとも理由は解りますが、変に意識されてしまいますとこちらも仕事がやり辛くございます。」
「え?き、聞いた?」
「先程ミリィ様の婚約者に私を宛がったと聞いております。」
ミリィは耳まで真っ赤にして俺に枕を投げつけてきた。
「もう!恥ずかしくてタケルさんにお世話して貰えませんよ!」
「それよりお昼でございますので、髪の毛を直して食堂へお越し下さいますようお願いします。」
「タケルさん、私が寝てる間に何かしました?」
「特に何もしておりません、先に食堂に行っておりますので、お急ぎください。」
ミリィの部屋を出て外で待機していたモモに世話を任せて食堂へ。
昼飯はパスタだった。
「国王様、こちら私が開発いたしました新種の調味料でございます。よろしければお使いください。」
タバスコを国王に渡して、自分の席に座った。
「タケル君、これはどういった調味料何だい?」
俺はタバスコを1瓶パスタに掛ける。
「このように食べ物に掛けると美味しくなるものでございます。」
「見た目が辛そうなんだが・・・。」
「見た目ほどではございません、安心してお使いください。」
ミートソースパスタ・タバスコ味を平然と食べる俺。
ここで慌てたりしたら国王への仕返しが失敗してしまう。
「ふむ・・・、どの程度かけるのがおいしくなるんだい?」
「私は一瓶ですが、国王様は半分ほどがよろしいかと。」
「そうかい?」
俺はうなずいてタバスコ味のパスタを食べる。
国王はそれを見てタバスコを一瓶、パスタにかけてしまった。
「これでも辛い物には強い方でね、タケル君が大丈夫ならきっと大丈夫だろう。」
バカめ、これでも見えない所で汗だくなんだ。
国王はパスタをよく混ぜてタバスコを全体に満遍なく絡めて一口目を口に入れた。
「ふぉごぉおおお!!!」
「ふぅ、スッキリした。」
国王の悲鳴を聞いて胸の中が心底スッキリした。
あまりに清々しくて、思わずつぶやいてしまった。
「い、いたい!口の中が痛い!!」
「一瓶も入れるからでございます。」
俺は冷静に立ち上がり、国王のコップに水を継ぎ足した。
「君も一瓶入れていたじゃないか。」
「私は辛い物への耐性が常人より強いのでございます。」
国王はヒーヒー言いながら水を飲み干し、ナプキンで唇を拭いている。
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