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そこまでしてミリィとの結婚が嫌な訳でもない。
立場が少し変わるだけで、今と大して変わらないのだから、特に気にする事もないだろう。
「私と結婚するの、嫌じゃないんですか?」
「望んでする程の感情は持っておりませんが、特に嫌悪する様な理由も御座いません。」
「私、頑張りますから!」
「まずは早起きから頑張りましょう。」
俺は私服に着替えてミリィと一緒に城の裏口に向かった。
「何かドキドキしますね。」
「初デートなのですから、多少緊張していても普通でございます。」
「で、デートぉ!?」
「おや、違うのでございますか?結婚を前提とする男女が共に街に買い物に出る、これを世間ではデートと呼ぶのでは御座いませんか?」
「で、デート・・・。」
ミリィはデートを意識した途端に挙動不審になった。
「わ、私の服、変じゃないですか?」
「デート相手に聞く事ではございませんし、その服を選んだのは私でございます。」
ミリィの頭に帽子をかぶせる。
「さて、それじゃ行くか。」
「タケルさん、言葉遣いが!」
「仕事モードで話したら、一発でばれるだろうが。」
飽くまでお忍びだと言う事を忘れないでほしい。
「こっちのタケルさんもワイルドで良いです。」
「はいはい、ありがとさん。」
裏口から外に出てミリィの手を握る。
「はひぃ!?」
「ん?どした?」
「て、手を握ってますよ!?」
「嫌なら離すけど?」
俗にいう恋人つなぎと言うやつ何だけど、ミリィの手がニギニギニギニギと蠢いていてちょっと怖い。
隣ではミリィがにへらにへらと笑っている。
「嫌じゃないみたいだし、このままで良いな。」
「はい♪」
だらしなく緩み切っているその表情を見て、誰がこいつを王女だと認識できるだろうか。
「ん?タケルじゃないか?」
「ああ、マキさん、ちっす。」
「デートか、良いねぇ、青春してるじゃねぇか!どれどれ?お前の彼女はどんなか・・・お?」
ミリィの顔を覗き込んだマキが硬直した。
「おいおいタケル、こいつぁ・・・どういうこった?何でミリィとお前が手をつないで歩いてんだ?」
「国王が決めたとは言え、一応婚約者何で、デートくらいしても問題ないでしょ。」
「お前はその決定に従うってのか?」
「俺は別に嫌じゃないし、一緒に居なきゃいけないのは変わらないわけだしさ。」
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