勇者と執事

3/10
前へ
/201ページ
次へ
そんなものに応じる位なら勇者なんか呼ばないだろう。 俺はミリィの提案に首を横に振って応えた。 「どうすれば平和に解決できるんでしょう・・・。」 「やはり面倒になる前に殺ってしまうのが一番かと。」 とりあえず今夜、勇者がどの程度の者かを試しに行ってみよう。 「私はこの後少々用事が御座いますので、失礼します。」 「まさか、殺しに行くんですか?」 「いえ、国王様の仕事を手伝うのです。」 曰く将来ミリィと結婚するなら必要になる事だそうだ。 「無茶なことは絶対にしないでくださいね?」 「ご安心ください、私は不老不死にございます。」 国王の部屋に行き、今夜ガリアの勇者とやらと腕試しに行ってくることを伝えた。 「くれぐれも怪我等しないようにしてね。」 「飽くまで様子見でございます。」 その後国王の執務を手伝い、夕食を食べてミリィを部屋に送った。 「止めてもどうせ無駄だろうけれど、行かないでください。」 「勇者の実力によっては今後の作戦を練り直さなければならないので、それは無理でございます。」 ミリィは溜息を吐いて俺のプレゼントしたネックレスを渡してきた。 「お守り代わりに持って行ってください、明日の朝に、返却してくださいね。」 「お預かりします。」 俺はそれをポケットにしまって屋上に向かう。 「タケル君、これを持って行くと良い。」 屋上への階段の途中国王に一振りの剣を貰った。 「恐らくこの城で一番切れ味のいい剣だよ。」 「ありがとうございます。」 剣を受け取って腰に差し、今度こそ屋上へ。 空気の層を突き破りながらガリアに向かう。 飛行を始めてからおよそ1時間でガリアの上空に到着した。 「私は王国の執事、タケル・シノブチだ!この国を侵略しに来た!命が惜しくば無条件で降伏しろ!」 一応風魔法で降伏を促すが、そんなものを誰が受け入れるかといった感じで下から矢が飛んでくる。 「降伏する気がない事は良く解った、今から五分後に城の右側を半分吹き飛ばす!」 成層圏まで飛行し、そこから地上までを全力で落下した。 直径約30センチ、重量約65kgの砲弾が城に突き刺さり、城が半壊した。 ついでに地面にも相当大きなクレーターが出来ている。 「最終通告だ!今すぐ降伏して国を明け渡せ!」 四方八方から矢が飛来し、俺に当たっては地面に落ちる。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加