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放課後、城に戻った俺の所にモモが手紙を持ってきた。
「国王様からです。」
「ふむ・・・。」
その場で封を切り中身を読む。
『イシュタール攻略の手はずは整えてもらった、それと君が疑っていた他国との内通者も総て洗い出して貰った。
3日後の正午、『黒の騎士としての』出陣を命じる。
ジスタ・T・タリリアント』
俺はその場で手紙を丸めて灰も残さず燃やし尽くした。
「ご苦労様でした、ミリィ様のお着換えの手伝いをお願いします。」
モモにそれだけを言い残して俺は一度自室へ戻り、そこに置かれている鎧一式を身に着けた。
「やっぱ、厨二くせぇな・・・。」
変声魔法を仮面の裏側に仕込む事にした。
「我が名は王国特殊戦闘部隊七曜の騎士が一人、黒騎士。」
変声魔法を掻き込んだマスクを装着してポーズを取った所で、ちょうどよくミリィが部屋に飛び込んできた。
「タケル・・・さん?」
誰か殺してくれぇ・・・。
「良いですね!それ凄くかっこいいですよ!」
大興奮のミリィ、かっこいいと言ってもらえるのは嬉しいが、落ち着けと言いたい。
「モモさんもそう思いますよね!?」
「え、ええ・・・そ、そうでございますね。」
モモは若干引き気味だ。
俺は恥かしさに負けて窓から逃走した。
「ちょっとタケルさん!?」
猛スピードで城を走り抜け、城壁を飛び越え、町中を全力で走り抜け、所属ギルドの獅子の咆哮へ入った。
「おいおい何・・・の?何だそりゃ・・・。」
「我は王国特殊戦闘部隊七曜の騎士が一人、黒騎士。」
「いや、タケルだろ?」
何で解るんだよぉ!!!!
俺は仕方なく仮面を外してマキに土下座。
「しばらくかくまってくれ!!」
「それなら事務仕事を手伝いな、それよりその装備、良いな!ちょっと貸してくれよ。」
匿ってくれる上に身代わりになってくれるなんて、あんた最高だ!!
「どうだ?似合ってるか?」
「ああ、最高に似合ってる、俺の代わりに黒騎士やらないか?」
「ははは、そりゃ無理だ、あたしは一人で国を落したりできないぜ。」
たぶんその装備をつけたら絶対不可能って事は無いと思う、マキの実力なら。
「じゃあ、赤の騎士ならどうだ?火属性魔法が使えれば推薦してやるけど?」
「まじか!?やるやる!」
「じゃあちょっとその恰好で黒騎士として下の訓練所に居てくれ。」
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