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「あ、あの・・・。」
「はい、何でございましょう?」
「何で部屋にいるんですか?」
「執事長から、常に主の傍にいろと仰せつかりましてございます。」
「女の子の着替えの時は別です!」
「問題ありません。」
「私が問題あるんです!着替えが終わったら呼びますから、部屋の外で待機してください!!」
俺は一礼して部屋の外に出た。
それから数分後、ミリィに呼ばれて部屋に入った。
「お顔が赤いようですが、体調でも悪いのでしょうか?」
「違います!着替えを見られて恥ずかしいんです!!」
「さようでございましたか、それは失礼いたしました。」
「それで?何の御用なんですか?」
「本日付でミリィ様専属の執事となりました、タケル・シノブチでございます、よろしくお願い申し上げます。」
ミリィはぽかんとした顔で俺を見ていた。
「何か?」
「まさかそれだけのために来たんですか?」
「はい、執事長より、挨拶は重要だと伺いましたもので。」
ついでに着替えていたから手伝おうとしただけだ。
「さっきは待ってくださいって言ったのに、何で入ってきたんですか?」
「人を待たせると言うことは、忙しくて手が離せない状態である場合が多く、執事として主の多忙を和らげる事は仕事の内かと。」
「解りました、あなたは素直すぎるんです。」
「親戚からはお前はひねくれ過ぎていると言われておりました。」
「きっとひねくれ過ぎて360度回転してしまったんですね。」
それは新しい可能性だな、全く考えたこともなかった。
「執事長は他に何をあなたに教えたのですか?」
「曰く、おはようからお休みまで日常の世話をするのが執事の役割であり、戦闘においては、その身を呈して主を守るべし。曰く、常に優雅さを失わず、冷静かつ丁寧であるべし。」
つまり起きている間は傍にいて生活のサポートを行い、主が危険にさらされた場合はその身を呈して主を守り、いかなる時でも冷静沈着で丁寧で優雅でいろという事。
「私の前では普通にしてもらって構いません。」
「それじゃそうする。」
ふぅとため息をついてその辺のソファに腰かけた。
「言われてすぐにそこまで寛げるなんて、大物ですね。」
「そうかもな、別に不敬罪で死刑貰っても良いし。」
「タケルさんが一番怖いと思うことは何ですか?」
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