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それから数分後、ギルドの前が騒がしくなってきた。
「やはり見られていたか・・・。」
「何だ一体?」
「俺がその恰好でここまで走ってきちまったから、皆何事かと思って見に来たんだろうさ。」
「そうかそうか、これは顧客とギルド員ゲットのチャンスだな。」
一応そういう欲求は有ったんだな。
「俺が対応してくる、『黒騎士』様は地下の訓練場で新兵器の試射でも行っていて下さい。」
「何だよ、急に仕事モードになりやがって。」
「お客様の対応をするなら、この方がよろしいでしょう?」
マキを地下に押し込みギルドのドアを開いた。
「皆さま方、どういったご用件でしょうか?」
「さっきこのギルドに黒い帽子と仮面とマントを付けた奴が入って行ったと思うんだが。」
「はい、黒騎士様でございますね、お城から鎧の運動性能試験でこのギルドまで走って来られたそうでございます。」
「今もここにいらっしゃるんですか?」
「はい、地下で新兵器の試射を『ズゴォオオ!!』ます。」
幾分地面が揺れた気がする。
「合わせて貰えませんか?」
「王国特殊戦闘部隊七曜の騎士は今の所国家機密でございますが、そうですね・・・、このギルドに所属するか、依頼を持ってきていただければ、いずれはお会い出来るかも知れませんね。」
「でもなんで黒騎士様はこんな小さなギルドに来られたのだろう?」
「黒騎士様は騎士としての任務の他に、ミリィ姫様の護衛をしておられるお方、そしてこのギルドにはミリィ姫様がご登録成されておられるのです。理由はこのギルドが一番人が少ないから、でございます。」
「俺、このギルドに登録する!」
一人の青年が手を挙げてそう言うと他の人たちもこぞって俺も私もと申請を申し出てくる。
「見て解る通り、現状このギルドの大きさでは、到底この人数を収容できる広さは御座いません。」
「それなら俺に任せな!」
随分と引き締まった体躯は日に焼けて真っ黒で、髪の毛をどこに置き忘れてきたのかと思わせるスキンへっとの親父が前に出てきた。
「俺はこの町の大工だ、このギルドに姫様と黒騎士様が居ると聞いちゃ格安でこのギルドをでっかくしてやるぜ!」
有りがたい申し出ではあるが、俺の一存で決められる様な物でもない。
「マスターと相談して参りますので、少々お待ちください。」
俺はそう言い残して地下に降りた。
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