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「良かったではありませんか、国立ギルドですよ?」
「・・・・・・。」
マキは黙って俺をにらんでいた。
「ま、要するにあんたの家出も年貢の納め時ってやつだ。」
「ッ!!」
「別に城に帰れとか、そう言う事を言ってるんじゃない。」
誰もマキの不幸なんか望んじゃいない。
「全部ばれてるんだ、どこに住んでたのかも、何をしていたのかも。」
「じゃあなんで連れ戻さなかった・・・。」
「前国王も、人の親だったって事じゃないか?娘を政略結婚させるのには、あまり乗り気じゃなかった、だから城から出て幸せそうにしている娘を連れ戻さなかった。」
「・・・・・・。」
「常に監視はされてたみたいだけどな、マキがどう思うかは別として、羨ましいもんだぜ、親の愛ってやつは。」
「うるせぇよ・・・。」
マキはちょっと顔を赤くして地面に刺さった矢を引き抜いた。
「それに前国王夫妻の現住所が書いてある、冥土の土産に孫の顔位は拝ませてやっても良いんじゃないか?」
「ケッ、おせっかいな野郎だ・・・。」
「私は仕事に戻らせていただきます。今後七曜の騎士で作戦会議などを行う場合はそちらのギルドを使用させていただきますので、よろしくお願いします。」
「わーったよ、好きに使ってくれ。」
「ありがとうございます。」
「こっちこそありがとよ・・・。」
マキはそれだけを言い残して走り去って行った。
「やれやれ、お互い素直にゃほど遠いな・・・。」
その背中を見送りながら一言呟いて、自嘲気味に笑った。
執務室に戻ると国王が顔を青くしていた。
「ど、どうだった?」
「交渉は成立にございます、ご安心ください。」
「いや、姉さんに怪我をさせられたりはしてないかい?」
一緒に住んでた頃は、生傷が絶えなかったんだな。
「感謝して帰られましたよ。さて、仕事をしましょう。」
客間を一つ開ける準備をして置くのも悪くない。
「王族の女性はどこかしら問題が有りますね。」
「否定できないのが辛いね、これでも母は真面だったんだが・・・。」
「前王妃は元々王族ではなかったでしょうに。」
「あの子にはまともに育って貰いたいものだね。」
俺を傍に置いてる時点で、それは聞き届けられない願いだろう。
「厳しく接しろとは言いませんが、甘やかすのを止めれば、もう少しだけ真面になるかも知れませんよ。」
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