超特殊ギルド獅子の咆哮

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それから3日、表面上では特に何もなく過ぎた。 「来ない・・・。」 そう、飽くまでも表面上の事、その水面下で国王の心情は穏やかではなかった。 「予定通り、今夜出撃します。」 「う、うむ・・・。」 「心配ありません、むしろこんなに早く届くはずありませんから。」 「な!?」 「今頃帰路の途中でございましょうから、明日の昼には届くのではないかと。」 「そ、そうだな・・・。」 「イシュタール女王を捕虜として確保して帰還します。」 そう、それだけの仕事だ。 「国民の一人も殺すことは許さん。」 「心得ております。」 他の奴らにしたらただの無茶ぶりかも知れない。 傷を負わない体だからこそできる芸当。 「タケルさん・・・。」 ミリィは心配そうな顔で俺の事を見ていた。 「それではイシュタールに向かいます。」 「途中で使者を見つけたら急ぐように言ってくれるかい?」 「了解しました。黒騎士、出撃します。」 黒騎士の帽子をかぶって謁見の間を出て馬にまたがった。 「さてと、行くか・・・。」 城を出ると町の人たちがお祭り騒ぎで見送ってくれる。 一応初お披露目の黒騎士様に皆浮かれているようだ。 「任務ご苦労様であります!行ってらっしゃい!!」 「ああ・・・。」 そのまま城門を抜けて一気に加速する。 国一番の駿馬と言うだけあってそのスピードはすさまじい物が有った。 全てを置き去りにする様な速さで馬を走らせる。 「ん?」 10分位走った頃、何かに追われる馬車が1台反対方向からこちらに向けて走ってくる。 俺は馬を止めて馬車の御者を呼び止めた。 「何が合った?」 「ドラゴンだ!早く逃げないと食われちまう!!」 馬車の後ろには土煙を上げながら猛スピードでこちらに突っ込んでくる大きな物体が居た。 「少し離れて居ろ。」 「お、おい!?」 ドラゴンと馬車の間に立って銃を抜く。 「我は王国特殊戦闘部隊、七曜の騎士が一人、黒騎士。」 「と、特殊戦闘部隊!?」 銃を両手で構えてドラゴンに照準を合わせる。 「我々の持つ武器は、それ一つで一国に相当する。」 そして引き金を引いた。 ズドォオオオオオオォォォォォ・・・・ 長く尾を引いた破壊の奔流がドラゴンを飲み込み、そして消し去った。 「こんな物だ。」 銃をホルスターにしまって馬にまたがった。
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