最低の人生

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「現状が一番怖い、死にたいのに死ねない、そんな恐怖を味わった事があるか?」 「死ぬ瞬間が一番怖いと思わないんですか?」 「死ぬと思った瞬間にはもう確実な死が目の前にあるわけで、確実である以上死ぬわけで、そう考えると死ぬ瞬間なんて諦めが付いている物なんじゃないか?」 「だからって怖くないとは限りませんよ。」 「そうだな、借金とかレンタルDVDとかが部屋にあると延滞料どうしようって考えるもんな。」 「れんたる・・・でぃぶいでぃ?」 「さすがは姫様だな、貧乏人の娯楽には興味なしか。」 「興味はありますが、初めて聞く言葉です。レンタルと言うと、何かを借りるという事ですか?DVDってなんなんですか?」 DVDを知らないだと? 「パソコン、電卓、LAN、テレビ、電話、携帯、スマホ。」 「???」 「今の言葉で聞いた事がある物は?」 「でんわ・・・念話に似てますね!」 マジか・・・。 「聞いていなかったが、ここはどこだ?」 「ここは私の部屋です。」 「違う、この国の名前だ。」 「タリリアント王国ですけど。」 知らない名前だ・・・。 「はぁ・・・。」 ため息しか出なかった。 「何なんだよこの世界は・・・。」 でっかい猪位までは何とか許容範囲内だったが、聞いた事のない国の名前、全くデジタルという概念が存在していない事。 「俺のいた世界じゃねぇのかよ!!」 「あ、あの・・・。」 「世界まで俺をたらい回しにするつもりか・・・。」 自然と笑みがこぼれた。 「隣の国はなんて国だ?一番近いところ。」 「えーと、ルナ帝国ですね、我が国とは同盟を結んでいて「明日侵略してくる。」はい!?」 「俺は世界を征服する、全部俺の物にする。」 「そんな無茶ですよ!」 どうせ死なないし傷つかないんだ。 「そうと決ればまずは資料室で隣の国の情報を調べないと。」 「急にどうしたんですか!?」 「もうたらい回しは御免なんだ、俺はこの世界を手に入れて、世界が俺なしじゃ動かないようにしてやるんだ。」 待ってろよ世界・・・。 「い、生き甲斐を見つけた・・・のでしょうか・・・。」 「ひゃははははははははは!!!」 死ぬまで戦い続けてやるからな!! 「はぁ・・・なるほどな、これが幸せか!」 「多分違うと思うんです。」 とりあえず今は体力温存だ。
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