イシュタール

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翌日、俺はミリィを風呂に落すために風呂場に向かった。 ミリィは俺の腕の中で腹をボリボリ掻き、涎をたらしながらニヘニヘとスイーツの名前を呟いていた。 「あら?タケル様、おはようございます。」 「おはようございます、王妃様。」 「ミリィさん?」 「これからご入浴のお時間ですので、失礼します。」 「まぁ!二人の関係はそこまで?」 「はい?・・・ああ、違いますよ、これからミリィ様をお目覚めさせるのでございます。」 アリサが不思議そうな顔で立っているので軽くお辞儀をして風呂場に向かった。 「目覚めよ。」 俺はミリィを風呂に投げ落とした。 「ひにゃぁあああ!!!」 「おはようございます、ご入浴が済みましたら急いで食堂におこし下さい。」 「たまには平穏な朝を迎えたいです。」 「そう思うなら、ご自分でご起床ください。」 浴室を出ようとした所でアリサが駆け込んできた。 「何が有ったのです!?」 「ミリィ様を浴槽に投げ込んだだけでございます。」 「王女を投げ込むなんて、何を考えているのですか!?」 「タリリアント城の朝の風物詩でございます。」 俺の後ろで服を脱ぎ始めたミリィを見ない様に、後ろ手で浴室の扉を閉めてアリサと一緒に脱衣所の外に出た。 「まず、言葉だけでは目を覚ましません。」 「揺すればよろしいのでは?」 「それで起きるなら、私が抱きかかえた時点で目を覚ますでしょう。」 そこに丁度モモがやって来て俺とアリサに頭を下げて浴室に入って行く。 「先程のメイドは?」 「彼女はミリィ様の専属のメイドでございます、主に入浴や着替えの世話を行って貰っています。」 別に俺は気にしないのだが、ミリィはその辺を気にする。 「それよりそろそろ朝食の時間になります。」 「そう言えば、タケル様は主人と一緒に食事を摂っているのですね?」 「義務付けられているのでございます。」 「珍しい事ですよ。」 「以前餓死を狙って食事を摂らない日々を送っていたところ、食事を共にして監視すると言う事になったのでございます。」 食堂に付き、アリサを招き入れ、椅子に座らせた。 「ミリィはまだお風呂かね?」 「ジスタ、タケル様はミリィさんをお風呂に投げ入れるんです。」 「ああ、いつもの事だね、気にしないで良いよ。」 国王の返事にアリサは口を開けて固まった。
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