第7章 会議

2/9
前へ
/157ページ
次へ
 翌日、早朝からいつも通り鍛錬を始めようと思っていた昇太郎だったが、突然呼び出されて主君である灰原昌隆を始めとした灰原家の面々がいる部屋の末席に座らされた。上座に座る灰原家当主の傍らには、唯一残った灰原家の子である琴乃の姿もあった。 「皆に集まってもらったのは他でもない。現在、我ら灰原家は危機に瀕している。よって今後の方針について皆の意見を聞きたい」  全員が揃ったところで始まったのは、今後の灰原家の運命を左右する重大過ぎる会議だった。そしてそんな会議の場に似つかわしくない昇太郎。彼はわけもわからないまま、ただ座って話を聞いていた。 「今後、この灰原家が辿る運命はそう多くはない。皆はどうすればいいか、至らない主ですまないがこの私に知恵を貸してくれ」  灰原昌隆はそう言うと、灰原家が選べる選択肢を述べていく。そして挙げられた選択肢は以下の通りだ。 一、養子を出すと言っている白山家から養子をもらい、白山家の支配下となる。 (白山家に従属することになり、黒川家との戦争時に最前線となる) 二、黒川家に琴乃を嫁がせて(側室になる)生まれた子を灰原家の跡継ぎとする。 (黒川家に従属することになり、白山家との戦争時に最前線となる) 三、灰原家の家臣や家中の人から一人を選んで当主の座につく。 (白山、黒川の両家との関係は現状維持で当主が変わる) 四、琴乃が女性の身でありながら次期当主となる。 (周辺国に受け入れられるかどうかわからないため先が全く読めない)  大まかに挙げられた今後の方針は以上の四通り。黒川家につくか、白山家につくか、独立状態を維持するかの三択が基本で、琴乃が灰原家の当主になるというのはいささか突拍子もない奇策といえる。奇策は時に身を滅ぼすこともある。しかしどの選択肢を選ぶかによって灰原家の命運が決まるのだ。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加