アザミ

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短大の夏休みからこの花屋でアルバイトをし始めた私は、元々管理栄養士を目指していたにも関わらず、この店に就職した。 花などはじめ興味もなかったが、自身の作品を作り上げるということは、大きな達成感がある。それをお客に喜んでもらえるなら、尚更だ。 それに、理由はもう一つある。 「胡桃ちゃん、できた?」 ラッピングまで終える頃、店長が店内に戻り、私に声をかけた。 「はい、どうですか?」 私は店長に見えやすいよう、バスケットを一と回しさせた。 「いいね綺麗」 店長は私の頭を一撫ですると、笑顔をみせる。 それに自身の胸がキュンと音を立てるようで、こそばゆい。 綺麗と言われたのはラッピングであって、私ではない。 だが、彼の言葉が私の身体を熱くする。 「15時にいらっしゃるからキーパーに入れててもらえる?」 「はい」 私は花を保つための冷蔵庫であるキーパーにアレンジ花をそっと置いた。 ここで働きたかった一番の理由は彼だ。 私より7つ上の店長と、どつしても離れたくなかったから。 「ありがとう」 彼に爽やかな笑顔を向けられてまた胸が鳴った。
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