第1章

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「薬師神君、ありがとね……」  大黒が、俯いて呟いていた。 第六章 幼馴染  やっと血が止まり、大黒の実家に行くと、倉庫に入った。  大黒には兄がいて、かなり真面目な人のようであった。兄は、仕事中なのか、大黒を見ても何も言わなかった。  冷たい家族なのかと思っていると、大黒の母親がやってきて、昼ご飯は何にしようか、忙しいから作れないので、自分で買ってきてなどと、賑やかに話していた。 「母さん、この二人を宿泊させるからさ。離れ使っているよ。それと、構わなくていいから、仕事して」  離れというのは、倉庫のことらしい。倉庫の上に、大黒の部屋もあるようであった。  部屋に荷物を入れると、シャワーとトイレも倉庫にあった。  屋台を確認しようと階下に降りると、今度は父親がやってきて、観光地は見たのかなどと、やはり賑やかに聞いていた。 「俺は、屋台出して稼ぐから、親父、場所を貸して」 「店頭でいいのか?」  店の横に屋台を出してもいいという。人通りも多いので、ありがたい位置ではあった。  その内、大黒の友人達が次々とやってきていた。近所の年の近い者は、全て幼馴染という土地柄らしい。  俺は屋台を確認していた。屋台は小物を売る台で、八百屋のような斜めの造りになっていた。他に、上からぶら下げる、横に引っ掛けるなどのフックが付いていた。大黒が仲間と話し込んでいるので、容易されていた根付などを台に並べてみた。 「何か違うな……」  色別にしてみたが、どうもしっくりいかなかった。 「効果別ではないの?」  効果?見た目では、全く分からないのだが、琥王には分かるらしく、分類してくれた。 「よく分かるな……」 「何となくね……」  厄の反対なので、むしろ分かるのかもしれない。 「俺が見ても、すっきりした感じ……」  袋はお手製で、紙袋にスタンプを押してみた。 「多分、女性向けだよね、これ……」  屋台、とても可愛い。グッズも可愛いものが多かった。主には石を加工したものなのだが、勾玉になっていたり、干支に加工している。そのデザインが、可愛い。琥王の出番かもしれない。 「試しに、一時間くらい出してみるか」 「価格はいくらだろう?」  大黒が気付き、値札を貼ってくれた。 「一律でね。屋台だし、難しい計算をしたくないしね」  屋台を移動させ、店頭に持ってゆくと固定させた。大黒が、俺のクッキーまでも値札を付けて乗せていた。
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