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「琥王、クッキーならば売れるだろう。信じられる効果があるしね」
琥王が、分かり易いようにと店のエプロンを付けられていた。まさかと思うと、俺にも色違いのエプロンを用意されていた。
「着ますか……これ?」
色違いのエプロンで、琥王は鉢巻きもして店の前に立った。どう売ればいいのか。俺は、客の名前や遠視もしなくてはならない。
しかし、琥王が立ち、笑顔を振りまくだけで、結構客が集まってきていた。
「開運グッズです。これいいなとか、これかわいい!など、最初に見たものが、案外相性抜群の品ですよ」
琥王は、女性に笑い掛け、一点一点売り出していた。疲れている客には、いつの間に用意したのか椅子を勧め、クッキーの味見を用意していた。
「クッキーおいしいでしょう。疲れの取れる味ですよね。俺の愛用品です」
クッキーは売らなくてもいい。
「おいしい」
琥王は、無理に購入させるということはしない。
屋台では、女子学生が固まって品物を選んでいた。
「かわいい!」
「触ると、温かい?」
温かいは、いい反応であった。
「それは、いい相性ですね」
琥王を見て、キャーキャー騒いでいた。
客の中で、購入が慣れている人、多く購入している人の名前を確認する。遠視で、自宅や会社の位置を確認する。
観光客ばかりであったが、夕方になり、大量に購入してゆく客が数人連続で来た。しかも、男性であった。
ろくに選びもせずに、ざっくりと購入してゆく。かなりの金額になるのだが、気にもしていなかった。
皆、会社員であるのだが、どこかおかしい。屋台を片付けようとしていると、又、大量購入の客であった。これは、この品物が本物の開運グッズであると知っているのだ。
「そんなに購入なさるのならば、お安くしますよ。それに、もっと効果のある品物もありますよ」
お安くしますでは反応しなかったが、もっと効果があるでは動揺していた。
「ここの店員と大量購入の約束はしていたけど、居なくなってしまってね。効果が高いものもあるの?」
「はい。でも、面接形式の販売なのです。効果が高いと危険もあるので」
大黒に確認していなかったが、どんな効果のものがあるのだろうか。
「いなくなった店員と、大量購入のご約束があったのですか?差し障りなければ、伺いますが?」
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