第一章 家出

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 塩冶 秀重(えんや ひでしげ)と桐生(きりゅう)で始めたえんきり屋。 名前は、縁切りに聞こえるが、 頭文字を取って名前を付けただけで、縁切りではない。  喫茶店(時々パン屋)、えんきり屋。 内装もマンションの一階とは思わせない、和風の造りで、 木造住宅の佇まいになっていた。 「桐生さん、店の前の清掃は終わりました」  本物の木々に拘るのはいいが、落ち葉には困る。 毎日の清掃が欠かせない。 「はい、おつかれ」  塩冶の元で、同居している俺は、 薬師神 一弘(やくしじん かずひろ)高校二年生。 訳あって、五月頃から塩冶の元で暮らし始めた。 「桐生さん、俺は屋根裏に居ます」  同居なのか?経緯としては、 住もうとしていたアパートが爆破され、俺はえんきり屋の屋根裏を間借りした。
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