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えんきり屋を出ると、自転車で森のくままで走った。
森のくまは、電車で行く時もあるが、自転車でも行ける。
パンの仕込みをしながら、福来の事を考えてしまった。
「一弘君、週末はまた、塩冶さんの仕事なの?」
「はい……」
芽実が、困ったように笑っていた。
「又、困っている人を見つけてしまったようね。
本当に、困った子ね」
福来は困っているのか。
俺は、ひとつスッキリとした。
「クッキー焼いていくといいよ」
どこまで芽実は察知しているのだろうか。
芽実は、何でもお見通しになっていた。
福来の資料では、福来の生い立ちが書き込まれていた。
大黒との写真を見る限り、この二人には何か繋がりが存在していた。
それに、福来は神憑きではないが、何か強いものを感じる。
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