200人が本棚に入れています
本棚に追加
そこでやっと、屋台の名前の意味が分かった。
大黒は、福来の名前を付けて、
福来に居てもいいよと告げていたのだ。
言葉にして言ったのかは分からないが、看板はそう告げていた。
大黒のこの行動から、福来は居場所がなかったのではないのか。
想像は想像の枠を越さない。
現場に行って、再度、遠視してみよう。
俺は、天然酵母の発酵を確認すると、小麦に混ぜながら手でこねてみた。
この生きている生地の感じが、俺はとても好きであった。
でも、この製法では、何個も作ることができない。
「あら、一弘君、珍しいパンね」
芽実が面白そうに、パンの様子を確認していた。
この天然酵母、俺が育てているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!