第三章 失踪

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 固いのは分かる、 香ばしく焼き上がっていたが、味に問題があった。 特殊な素材を使用していなかったのに、 これは薬師神のパンであった。 食べると、まるで、薬膳料理のようであった。 「おいしいけど、不思議な味ね……」  食べる毎に腹が減ってゆくような、不思議な感覚のパンであった。 「胃薬的……」  俺ががっくりしていると、芽実に背を叩かれた。 「これは、ここでは売れないよね。 だって、薬師神のパンですものね。森のくまのパンではないのよね。 でも、凄い……こんなに美味しくて、健康になれるパンなら、 毎日、食べていたいよね」  芽実が半分持って帰り、家で食べるという。 スタッフも幾つか取り、残りを俺が持ち帰ることにした。
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