第一章 家出

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 塩冶は、趣味が喫茶店で、本職は作詞作曲であった。 昔はバンドを組んでいたというが、今も歌っているらしい。 「はい、仕事します!」  このえんきり屋の屋根裏に、人探し部門がある。 物置であったのだが、カーテンで仕切り、部屋にしていた。 カーテンには、手書きで『薬師神の部屋』などと書かれていた。 塩冶は、ペットでも飼うつもりで、俺を置いているのかもしれない。  屋根裏で、胡坐をかき、パソコンで情報を確認してみる。  気になる事件は幾つかあるが、 何しろ、俺も本職は高校生なので、難しいのは解決できない。 「家出か……」  家出と失踪の違いは何だろうか。 家出の内、自殺の可能性が高いものを、先に探していた。 死体での再会は、辛いからだ。
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