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コンロ?は、マッチで火を付けるタイプなのだ。
第二章 波音の家
もうすぐ昼飯の時間であった。芽実を探すかと歩きは始めると、声が聞こえてきた。
石の積まれた低い塀は、風避けであろうか。
門を潜ると、芽実が笑顔でお婆さんと会話していた。
この方が祖母なのであろうか。俺が軽く会釈すると、芽実は手招きしてくれた。
「隣の家なのよ、ここ。うちの祖父母、留守みたいなのよ……」
芽実は周辺にも、土産を配っていたのだそうだ。
「安廣さんは?」
安廣の姿が見られなかった。
「医者と説明したら、集会所に連れていかれてしまったのよね。皆、医者に用があったみたいね」
安廣は小児科であろう。
「芽実さん、コンロの使い方を教えてください。昼飯を作ります」
「あらあら、それではウチで食べていきなさいな。土産もいただいたしね」
知らない家であるのに、食事を頂くというわけにもいかない。断ろうとしたら、後ろに居た琥王がいつの間にか、お婆さんを手伝っていた。
「山菜のおひたしに、お爺さん、どこかな」
庭に、呼ばれているお爺さんらしき人が居た。
「ここだ!畑で採ってきたよ」
「はい、今、料理しますからね」
お爺さん、山で会った人であった。
料理は素朴であったが、どれも新鮮でおいしい。遠慮もせずに食べてしまうと、溜息が聞こえてきた。やはり、かなり食べてしまったであろうか。
「……昔は、こんな食事でしたよね。出すと、全部無くなってね……今は二人でね、一回料理すると、三日も持ちそうでね」
この家の子供も、孫も、皆、都会で暮らしているのだそうだ。
「年に一回も帰って来ないよ……仕方がないよ、ここには仕事がない」
漁港らしきものはあるが、今は、自分達の食べる分しか漁をしていなかった。
「山菜、おいしいですね。少し苦くて」
「いや、こっちの木の実もいけるぞ」
何の実なのであろうか、ジャムを造ってみたいものだ。
「これ、俺の焼いたクッキーです。食事のお礼に貰ってください。この実、山で採れますか?」
季節があって、常備あるわけではなかった。しかし、冷凍にしてあるものを食べていて、自分達だけでは、多すぎるからと分けてくれた。
「琥王、これでジャムを造るぞ」
島には店はないが、一件、一般家庭のような家で多少の物が売っていた。
「砂糖」
売っている調味料が少ない。あとは洗剤の類しか売っていなかった。
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