第一章 過去からの手紙

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「藤木だけど、忘れたの?」  藤木、いや、藤木は殺されてしまった。 ならば、藤木と名乗る、前の人間は誰なのか。  そっと目を開くと、間近に琥王の顔があった。 「琥王?」 「おはよう。もう駅だよ、いつもは目覚めるのに、今日は起きないから、 心配して起こそうとしていたところ」  では夢であったのか。 「……目覚めが悪い……」  俺と間違われて、藤木は攫われ殺されてしまった。  駅の改札を抜けると、学校まで歩く。 線路添いを歩き、住宅街の中を突っ切る。 静かに歩けと言われているが、結構、賑やかな通学路であった。 「薬師神、次の仕事は決めたのか?」  俺は、えんきり屋で人探しもしている。 俺が居候している塩冶の母親は、どこかの教祖のようで、 そこに集まる行方不明者の捜索願いを、俺は引き受けていた。
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