第一章 過去からの手紙

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 玄関から教室に入ると、クラスの異なる琥王とは離れる。 俺の周辺には、パン仲間とあだ名される連中が寄ってくる。 森のくまは人気のパン屋で、パン目当ての連中が勝手に集まってくるのだ。  俺も朝食にするが、集まる連中には二度目の朝食というものも居た。 琥王も混じり出すと、パンの減りが速い。 ここのメンバーは、だいたいいつも同じで、 パン仲間と一括りに呼ばれていても気にしていない。 「忽那、新作、食べるか?」 「薬師神、新作を食べるのは俺だろう」  琥王は、新作の前の試作で食べさせていた。 「琥王は、もう試食しているだろ?他の意見も聞きたいのよ」 「でも、新作は俺の!」  琥王は二枚目と一言で片付けられない、猛獣の気配もしていた。 金色に近い瞳に、同じ色をした髪。まるでライオンのようでもあった。 忽那は、争う様子はなく、琥王に新作を渡していた。
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