第一章 過去からの手紙

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 今日の一時限目のミーティングは修学旅行の班割で、 行かない俺は、図書館に行ってもいいこととなった。 他にも数人、参加できない者がいた。 クラスでは一割弱が、行かないのだろうか。  席を立って教室を出ると、 陸上部の住吉(すみよし)と、天満(てんま)と一緒になった。 陸上競技会で、俺はこの二人の記録を抜いてしまっていた。 やや、気まずい。 「薬師神、背中に書かれた、サルは消えたのか?」  嫌味を言われても、耐えるしかないか。 俺は、神憑きで、運動神経は人間業ではない。 気を付けなければならなかったのだ。 「酷いよな。 あのペイント、犯罪者に投げるボールの塗料と同じだったらしいよ。 落ちないよな」  嫌味というわけではないらしい。 俺は、陸上競技会の棒倒しで、背中にサルとペイントされていた。 今も、その写真が出回っている。
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